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お仕事ネタ/法人営業とは異なる人材紹介営業の難しさを採用側の視点で語る

40手前で、何の縁もゆかりもない三重県は菰野町というところに移住したmitaniです。


前職時代から自分の考えた企画を提案する機会はめちゃくちゃやってるのですが、実は、ちゃんと営業をやってきた経験がありません。
とはいえ、事業会社に来て、商材ベースの営業の商談に参加することはあったり、採用業務で人材紹介から営業を受けたりするわけで、それらを客観的に見て気づくことがありました。

買う側の立場忘れがち

法人営業の現場見てて、たまに見るのが、とにかく「買う側の目線」ではなく、「売り手の目線」で商談しようとしていること。

その場合、購買意向が顕在しているならまだしも、緩い段階だとそりゃ商談進まないよねって話。

そういう話をストレートにしてしまうと、「リードの質が悪い」とかそういう事言う人いるんですが、そもそも一般的な法人営業って商談発掘からやるものだし、「今すぐ買わない」って状況から如何に購買機会を引きずり出すか、みたいな泥臭い営業するもんなんですよね。

それって既存営業だろうと新規営業だろうと変わらず、結局は「足で稼ぐ」というか、The ModelというSaaS発祥の分業型ビジネスモデルで効率性を追求するにしても、結局は顧客のグリップ力が営業スキルの本質だと思います。

と、営業経験はないのに偉そうに言ってますが、客観的に考えるとわかるのだが、自分が営業を受ける立場だった場合、どうだろうか?

たとえば、マンションとか自動車とか保険とか一定意思決定に慎重さが求められるようなものとか、もっと言えばヤクルトの訪問販売とかでもいいと思うんですが、そういう営業受けた時に「買う/買わない」は結構営業さん次第だと思うのです。

ある程度下調べして、もうお店に行く前には一定買う想定で営業さんに会うこともあるかもしれないですが、まだまだ購入確度がゆるゆるの時に営業受けることもあると思います。
(僕は、プライベートな買い物も、営業スキルに購入意思決定の主導権を奪われたくないので、明確に購買検討フェーズに入らない限りは基本的に商談に応じません)


そんなときに、売り手都合の押し付けセールストークや、こっちが購買確度低いと分かるや否や、やる気なくなる営業マン見てどう思うのか?

結構、そんな簡単な話だったりします。

ちなみに、めちゃくちゃ優秀な営業さんって、相手の購入確度が低くても、究極「どうしたら買ってくれますか?」って相手に全く嫌な思いさせずに、購買意思決定のKSFをさらっと聴けちゃう人だと思います。
それって、自分自身も購買検討における意思決定に何かしらロジックがあることを理解しているし、少なくとも時間取って会ってくれてるので「今すぐ欲しいとかではないけど、ちょっと気になってる」って心情を理解して、「買いたい気持ちの背中を押すお手伝い」を自然にできてる人なんだと思います。

受け手としては「売りつけてくる」のではなくて「本心としては欲しいけど、買うための理由だったり、誰かの承認(プライベートだと例えば家族とか)するための手助けをしてくれる」と思った瞬間に、仲間扱いしてくれるわけで。

ある意味、購買確度が一定ある状態で、スピード感もってクロージングできるのもスキルではあるんですが、そこに至るまでのナーチャリングが一番難しいわけで、そこが一番ポータブルなスキルになると思っております。

繰り返しになりますが、私には純然とした営業経験はありません。

人材紹介の難しさは、買う立場が経験し辛いこと

人事として採用に携わる中で、死ぬほど難しいと思ったのが、採用においては企業と候補者双方が「選ぶ立場」でもあり「選ばれる立場」でもあること。

すなわちそれそれが「売り手」でもあり「買い手」でもあるため、双方異なるロジックの意思決定が合致しないといけないため、単純に意思決定における変数が複雑に存在するのです。

ある意味、そんな複雑な意思決定が求められるマーケット構造をビジネスにしているのが人材紹介ビジネスであり、そりゃ儲かるよなってのは、首がもげるほどに頷けます。

そんな人材紹介営業さんと日常的にやり取りしてい、「採用する側の気持ちを理解できてない」と思う事がよくあります。

企業側としても、所謂リクルートで言うところの「ヨミ」のように、各選考ファネルの歩留まりを元にして母集団の数とか採用計画の係数管理することもあるとは思いますが、個人的にはそれはかなり大規模な採用の場合でない限り、正直当てにならないというか、単純な「割り算」の理屈は当てはまらないと考えてます。

考え方的にはエンタープライズ(大企業)の営業に近いというか、それでいてマーケットの流動性は一定高いし、相互に売り手/買い手の意思決定が走るので、より不確実性が高い。

係数管理を無視したほうがいいということではなく、ある程度の目安感的な数字は持ちながら、足元の母集団や選考状況は見てたほうが、戦略的にどこに力入れるかは考えやすいですが、KPIに囚われすぎても当てにならない。

これが、本質的な採用の難しさだと思います。

話を戻すと、人材紹介の営業さん(主にRAと呼ばれる人たち)も、数値目標/売上目標を持たされているわけなので、当然ながら営業のヨミとしての割り算KPIと戦っていると思うんです。

だからめちゃくちゃ難しいし辛い仕事だろうってのは理解できるんですが、人材紹介の難しいところって、通常の営業と違って「自分が営業を受ける立場」を経験し辛いところなんです。

なぜなら、「人に雇ってもらう経験」は会社に入るときに体験できても、「人を雇う意思決定」は採用する側にいないと体験できないから。

採用人事の経験があって人材紹介やってる方は、採用する側の気持ちとか考えに寄り添うことはできるけど、そうでない場合は本質的に「人を雇う側」の視点を持てないので、とうしても寄り添いきれない。

深く企業の採用担当の方と膝詰めで向き合う場数と経験を重ねることで、感覚値掴めるようにはなるかもしれないですが、究極は「人を雇う側」にならないとわからない。

そして、その視点を企業が求めていることに、全くもって理解をしていない人材紹介営業さんも結構多いです。

これが、人材紹介営業の難しいところだと、客観的に感じています。

素直に「どんな人なら雇えるか」をまず聞いてほしい

デジタルに求人要件で「この人マッチしてるのでどうでしょうか?」って推薦してくる場合もありますけど、そもそも企業や組織のコンディションなど踏まえて、求人票に書けないこともあります。

ましてや、組織として求める人材については、ベースラインとして共通化されているものもありますが、組織のコンディションやメンバースキル/キャラクターなどのバリエーションの中で、「今取りたいのはこういう人」というのは結構流動的ですし、採用する側は組織を俯瞰してむしろ流動的に考えていかないといけないと考えてます。

なぜならば、求人票に書かれている理想を全て満たせるような人しか採用しないのであれば、恐らく半永久的に採用はできないから。

だからこそ、どんな人なら採用されるのか、とか、選考のポイントなど、「どんな人なら採用できるのか」を事細かに、知ろうとしてほしいのです。


たまに、書類だけ、送ってきて「採用したいかどうか温度感を教えてほしい」と問われることがありますが、逆の立場で考えてほしい。


クルマ買う時に、排気量とか寸法など、諸元表だけ見せられて「買いたいですか?」って言われて、「買いたい」と答えれますか?

それでも例えば、価格とかついてれば、まだ少し検討できるかもしれないですが、値段もわからなかったら買えますか?

「予算が提示されてる」前提だったら、予算内なので価格がわからなくても、予算内として判断できるかもしれない。

でも、予算内かどうかもわからないとしたらどうだろうか。

採用の現場で、レジュメが上がってきたときの気持ちとはそういう感じなんです。




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