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映画の感想文「かくしごと」

※ネタばれあります。まだご覧になっていない方はお気をつけくださいmm
フランス行きの飛行機の中で観て泣きました。
フランス在住の杏さんが主演というご縁も感じて(杏さん大好き!)。


母である杏さんが凝縮された映画

実生活でも3人のお母さんである杏さん。
母性がテーマであるこの映画。濃密な母性を感じる映画でした。

※画像は公式サイトからお借りしました。

狂気を貫く愛

絵本作家の主人公千紗子は、認知症を患う父の世話をするため、実家へ。
幼馴染の久江と再会し飲んだ後、飲酒運転の久江が車で少年をひいてしまいます。
少年にけがはなかったものの、虐待と疑われる状態で記憶喪失。
実子を亡くしている千紗子は、少年を守りたいと嘘を重ねていきます。

助けずにはいられなかった千紗子

どう考えても長続きしないと、誰もが感じる生活。
でも、千紗子は揺るがず拓未と名付けた少年を守り愛していきます。

いつばれるんだろう ハラハラ
でも、そんな「狂気」としか思えない千紗子の行動の中に、「清らかさ」も同時に感じてしまいます。
その清らかさは、杏さん自身が持っている健やかさから現れているのかな。
ただただ危うい狂気を含んだ生活ではなく、千紗子ならなんとかやり通すのかもしれないと思わせる健やかさ。
単純ではない、層の厚い感情に触れながらストーリーを見守ります。

認知症の描き方がリアル 父の「ごめんね」

一方で、千紗子のお父さんは認知症が徐々に進んでいきます。
千紗子が分からなかったり、拓未のことも分からないまま同居したり。
続けていた仏像彫りもできなくなっていきます。

奥田英二さんの演技がすばらしいです

ああ、リアルだ・・
と思ったのは、お父さんが粗相をするシーン。
千紗子に始末をしてもらいながら、お父さんは「ごめんね」と謝ります。
誰か分からないけど、ごめんなさいと。
私も千紗子と同じ経験があるので、ああ、「ごめんね」と言うのだなあと胸がつまりました。

最初、拒絶感。親子なんだからという義務感。そして、いろんなことを思い出し・・・大事な時間なんだという受け入れる気持ち。
私の場合はこんな気持ちの流れがありました。
簡単に書いてしまってますが、長い時間を経ての流れです。
次はどんな気持ちになるんだろう。まだまだ変わるかもしれません。

お父さんと拓未と千紗子と、3人で粘土で像を作るシーンがあります。
こんな風にみんながやれることをやって、楽しく過ごせたら一番いいんだろうなと感じました。
今度、やってみたい。

子どもはわかっている

隠していた生活が明るみに出て、千沙子は罪に問われます。
全てを背負って法廷に立つ千紗子。
法廷で、拓未は自分の真実を迷うことなく話していきます。

ああ・・・
拓未( ;∀;)

先日観た「落下の解剖学」といい、子どもは多くを語らなくても、心の中にすでに多くを持っているんですね。
大人は、子どもを守らなくてはいけない、導くべき存在と思ってしまいます。
もちろん、食事や寝る場所や学校など、大人が保障しなくてはいけないことはあるけれども、子どもは自分で考えて行動している。
足りなく見える行動も、考えた結果なのだなあ。

大人も同じ。
他人には理解しづらい行動も、それまでの経験や考えが織り交ざった結果の行動。
分かったように自分の考えで人を判断するのは悲しいことだなと、改めて思いました。←わたしはやってしまいがち・・・

「その嘘は、罪か、愛か」
千紗子の嘘は、愛だったと思います。
罪とはいえ、千沙子のように行動しなければ、拓未は救われなかった。
千紗子も拓未も救われるのではないかと思えるラストシーンでよかった。
原作も読んでみます。

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