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AI時代、レトロなパントマイムと最先端技術の意外な共通点

こんにちは、芸能事務所トゥインクルコーポレーション所属、パントマイムアーティストの織辺真智子です。
今回は、一見かけ離れているように見えるパントマイムと現代技術の意外な共通点について、AIやソーシャルメディアの視点から探ってみたいと思います。

パントマイムとAI:無言の情報処理マスター

パントマイムを見ているお客さんって、私たちの細かな動きから「あ、今電話してるんだな」とか「重い荷物を持ってるんだ」って想像してくれますよね。実は、これってすごいことなんです。

心理学では、これを「ゲシュタルト知覚」と呼びます。断片的な情報から全体像を組み立てる人間の能力のことですね。

一方、AIの世界では「深層学習」という技術が似たようなことをしています。大量のデータからパターンを見つけ出すんです。

ただ、根本的な違いは、人間の観客が持つ先験的知識とコンテキスト理解能力にあります。AIは大量のデータから学習するのに対し、人間はより少ない情報でも豊富な経験と文化的背景を基に解釈を行います。

その場に応じて変化する:即興の魔法

パントマイムの醍醐味の一つは、即興性にあります。熟練のパントマイマーは、観客の反応を見ながら、その場で演技を変化させていきます。例えば、観客が笑ってくれたら、そのジェスチャーをもう少し大げさにしてみたり、逆に反応が薄ければ、別の表現に切り替えたり。

これって、実は最新のAI技術と似ているんです。「強化学習」という技術があるんですが、これは環境(この場合は観客)からのフィードバックを基に、自分の行動(演技)を最適化していくんです。

例えば、チェスAIを思い浮かべてみてください。相手の手に応じて次の一手を考えますよね。パントマイマーも同じで、観客の反応という「手」に応じて、次の「演技」を決めているんです。

面白いのは、この能力が「状況的認知」という理論で説明できること。つまり、私たちの認知能力は、その場の状況と切り離せないんです。パントマイムもAIも、環境との相互作用の中で最適な行動を学んでいくんですね。

複雑なものをシンプルに:抽象化の技

また、パントマイムの特徴は、複雑な概念や感情を、シンプルな動きで表現します。テレビドラマの表現で、カメラがパンしたかのように空間を変える、また、物語における長い時間を、たとえば「くるっとターンする」だけで表現することがあります。

これ、実は情報理論でいう「データ圧縮」にそっくりなんです。大量の情報を、損失を最小限に抑えつつ、コンパクトに圧縮する技術ですね。

AIの世界では、「自動エンコーダー」という技術が近いと思われます。例えば、複雑な人間の顔の画像を、几数百個の数字で表現するんです。そして、その数字から元の顔を復元する。パントマイムも同じで、複雑な現実世界を、シンプルな動きに「圧縮」し、観客の頭の中で「復元」してもらうんです。

面白いのは、パントマイムもAIも、この「圧縮」の過程で重要な特徴だけを残すんです。パントマイムでは、感情の本質的な部分を残し、AIでは画像の重要な特徴を残す。この「エッセンスを抽出する力」が、両者の共通点なんですね。

複数の要素を同時に扱う能力

パントマイムとAIの共通点として、とても面白いものがあるんです。それは「一度にたくさんの情報を伝える力」です。

想像してみてください。あなたが駅のホームで、電車を待っている場面を。突然、隣にいた人がスマホを落としてしまいました。その瞬間のあなたの反応って、どんな感じでしょうか?

おそらく、こんな感じではないでしょうか:

  • 目が大きく開いて(驚き)

  • 体が少し前のめりになって(助けようとする意思)

  • 手が思わず前に出る(拾おうとする動作)

  • 「あっ」という声が出る(状況の認識)

これらすべてが、ほんの一瞬で起こりますよね。

パントマイムの世界では、この「一瞬の反応」がとても大切なんです。表情、姿勢、動き、タイミング...すべてを使って、言葉なしで状況を伝えます。まるで、体全体がメッセージを発信する「生きた絵文字」のようです。

一方、最新のAI技術も似たようなことをしているんです。例えば、自動運転車のAIを考えてみてください。カメラからの visual 情報、各種センサーからのデータ、GPSの位置情報、さらには天気予報データまで。これらすべての情報を一度に処理して、「今、ブレーキを踏むべきか」「スピードを落とすべきか」を瞬時に判断しているんです。

つまり、パントマイムもAIも、「一度にたくさんの情報を捉えて、瞬時に反応する力」に長けているということですね。

ソーシャルメディアとの意外な共通点

TikTokやInstagramなどのSNS、短時間で感情を伝え、視覚的なインパクトを重視する点がパントマイムとの不思議な共通点です。例えば、音楽と背景、商品のみで商品の魅力を伝えるインフルエンサーマーケティングや、ジェットカットなどの間についての言及、ダンスなどノンバーバルコミュニケーションが最近のSNSには多く、パントマイム的な要素がかなりあるなぁ、と思います。

このように、レトロなイメージのパントマイムは、実は最先端技術と多くの共通点を持っています。非言語コミュニケーション、パターン認識、創造性、継続的学習など、パントマイムの本質は、AI時代のビジネススキルとしても非常に価値があるのです。

皆さんも、日常生活やビジネスシーンで「パントマイム的な要素」を探してみてください。きっと新しい発見があるはずです。
パントマイムとビジネスやAIとの関連について、これからも考察を重ねていきたいな、と思っています。

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