万城目 学「あの子とQ」感想~現代社会にアップデート化した吸血鬼『JK』の冒険物語~
主人公が秘密や能力を隠すアニメといえば、
その昔は「ひみつのアッコちゃん」
えっ?古すぎるー!ですって( ´•ᴗ•ก; )
では、「ときめきトゥナイト」とは...。
えっ?女の子ものばかりじゃないかー!ですって( ´•ᴗ•ก; )
では、うーん?男の子もので、なにかありましたっけ?
「デビルマン」とか?
うーん…思い浮かばないので教えてください。
とにかく秘密や能力を隠す世を忍ぶ系主人公たちの軸になるのは、
自分の能力を使い、困ってる人を助けたり、恋に利用したりですよね。
でも、万城目ワールドで描く世を忍ぶ系主人公は違うのです。
万城目ワールドといえば奇想天外。
ここ最近はついていけずで途中下車していたのですが、
本書は誰が読んでも面白いはず!
その面白さを語ります。
主人公の弓子は、部活に勉強に友達の恋の手助けと、
どこにでもいる女子高生。
人と違っているのは...そもそも人じゃなくて吸血鬼ってことだけです。
吸血鬼だけど太陽の光も、匂いがキツイもの(ニンニク)大丈夫。
人間社会に溶け込むために日々アップデートしてきた先人たち。
人の血を吸うなんてもってのほかだけど、日頃は眠っているものが
キッカケさえあれば目覚めてしまう。
脈々と受け継がれてきた本能ってやつかしら?
本能である血の渇きの危険から解放されるためには、
17歳の誕生日に「脱・吸血鬼化」なる儀式を受けること。
誕生日までの10日間(禁断症状期間)人の血を吸っていないかトゲトゲを纏ったおばけのようなものに監視される。
そのトゲトゲおばけの名前が「Q」
フツーの女子高生だった弓子が、落石によるバス転落事故をキッカケに
目覚めるのです。
さあ、弓子とQとの大冒険のはじまりですよ。
読みどころポイントは、
・無事に弓子は誕生日を迎え「脱・吸血化」することができるのか?
・弓子の友だちのヨッちゃんの恋は成就するのか?
・最初は嫌っていた「Q」にバス事故で助けられたことで「Q」がピンチ! 弓子は「Q」を助けることができるのか?
・同じ吸血鬼だったはずの「Q」が、なぜトゲトゲ状のばけものにされてしまったのか?
好きだったところは、
とにかくキャラクター設定が良き。
親友で、ボケ役のよっちゃんが最後までサイコーにかわいい。
吸血鬼といえども、人間社会で生きていくにはアップデートが必要。
でも吸血鬼としての矜持もちゃんと持つ。
現代社会への皮肉さを吸血鬼社会で描く面白さ。
推理モノではないのに最後に謎を解きたくなるところは、
「Q]の謎を解け!?
監視役のトゲトゲおばけを、
アルファベットの「Q」って名付けたのは弓子。
本来は「吸血鬼」の「吸」からの「きゅう」と呼ばれている。
弓子が呼びやすいから「Q」として変換し呼んでるだけ。
現に弓子の「弓」も「きゅう」って読めるでしょ。
意外とここポイントじゃない?
吸血鬼一族は世を忍び人間社会で生きているのだけど、
登場人物の中で吸血鬼だと明かされていないあの人も…
「きゅう」と読める人がいるよね?
もしや吸血鬼なんじゃないって、思わせる人がいるよね?
謎のままで終わってるー!
ってことは続編があるってことですか?
「大きな再会と、ふたたびの大冒険」ですからね♡
つづき、楽しみに待ってまーす。
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