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山崎ナオコーラ「ミライの源氏物語」感想~登場人物の名前はあだ名?紫式部の心の声がダダ漏れ!?~

☆次作大河ドラマ「光る君へ」で「源氏物語」ブームになる前に

2024年の大河ドラマは、世界最古の長編小説といわれる「源氏物語」を生み出した、紫式部の人生を描きだす「光る君へ」に決定。

吉高由里子が主人公のまひろ(紫式部)を演じるようなので楽しみだ♡

きっと「源氏物語」ブームとなることだろう。

その前に、学生の頃にちょこっとだけ習っただけで知らないことばかりで、
いつかはちゃんと読んでみたいと思ってたし、ね。
ドラマの前に、本格的に読む前に、予習をしておこうと手に取った一冊。

☆簡単あらすじ

ルッキズム、ロリコン、不倫。現代を生きる私たちは名作古典「源氏物語」をどう読めるか〉 〈人気作家・山崎ナオコーラによる現代人のための「源氏物語」エッセイ〉 現代人が「源氏物語」を読むときのハードルとなるのは、ひとつは言葉の違い(古文の読解)、そしてもうひとつは倫理観や 社会規範の違いです。本書は、社会の在り方に長く向き合ってきた作家・山崎ナオコーラさんが、深く愛する古典「源氏物語」 について、現代人ならではの読み方を考えます。

☆ナオコーラ流「源氏物語」をひも解く

読む前は、ナオコーラ流に書き直した源氏物語なのかと想像していたが、ナオコーラがひも解く源氏物語でした。

平安時代と現代とでは社会規範がちがう。

平安時代の読者は、ヒロインが無理やり連れ去れるシーンでも、「そうだよね」と頷きながら読んだかもしれないが、現代に生きる私たちは、連れ去られるヒロインを見て「これって犯罪だよね?」と憤り、浮気を怒るヒロインの態度を諫める光源氏に対し「怒って当たり前だろ!」となる。

それらを思い巡らすことは、現代ならではの楽しみ方なのではないかとナオコーラさんは提案してる。

そう現代ならでの読み方で源氏物語を読んでみよう!

末摘花で「ルッキズム」
紫の上で「ロリコン」
桐壺更衣と藤壺で「マザコン」
あと、マウンティングとか貧困問題などもあります。

なるほどなるほど、こんな読み方もできるし、うんうん現代ではそうだよねの解釈が面白い。

よーく考えれば、考えなくても、紫の上なんて合意なしで性行為を強いられたよ。
一方で浮舟は性暴力を強いられ受け入れず出家する。

受け身だけのヒロインの印象が強い源氏物語の中で、受け入れないヒロイン浮舟の話が読みたいと思った。

でも物語としての完成形、答えは出ていないとか...。
中途半端な終わりでつづきが気になるのはアメドラっぽくていいんじゃない♡(←違うって💦)

☆源氏物語プチ情報


本書で、興味深く面白かったのは「源氏物語」プチ情報ーー!

・紫式部の心の声がダダ漏れ!?
文章と文章の合間に、「こんな文章を書いてしまいましたが...」「このあたりは読みづらい文章ですよね...」書きながら喋ってるいるように声を紛れ込ませているそうな。
言い訳を書きながら喋ってる紫式部が俗っぽくっていいわ。

・登場人物の名前はあだ名なのーー!

平安時代の身分の高い人の名前を出すのは失礼という考えがあり、原文にはない。
当時の読者は読めても、後世の読者は名前のない人たちに、読みにくいやーん( ;ㅿ; )
そうだ!エピソードにちなんで勝手に名前つけちゃおう。
「夕顔」とか「明石の御方」とか。
文学部出身でない私は、はじめて知る情報に、へぇー!読者が名前をつけたんだ。
今でも距離が近づけるし覚えやすいし、名前に親しみを込めてあだ名で呼んだりするもんね。

☆読書はどうして楽しのか…からの未来の読者にバトンを渡す

読書はどうして楽しいかについても触れていた。

読書をしながら、いろいろなことを考えることは作品参加になります。(本文より)

文学作品は「個人がゼロから作り出した」のではなく、その時代のその場所から生まれ、多くの人が関わって作り上げた。


未来の読者へとバトンを渡す。

本書は、現代に寄せて考え読書参加することで、「源氏物語」という物語を、未来へとつなぐバトンを渡す楽しさを教えてくれた作品だった。

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