いつかの新聞

読書と散歩が好きな古新聞

いつかの新聞

読書と散歩が好きな古新聞

最近の記事

ある翻訳家の取り憑かれた日常 / 村井 理子著

イオンに入っている本屋のエッセイ・コーナーで偶然出会った。 滋賀在住で翻訳家が書いた日常のエッセイだということで興味を引かれた。(私が京都在住なので親近感) タイトル、カバー、そしてすごい数字が書かれた帯から、ただならぬ雰囲気を感じた。全く知らなかった著者だったが、後で調べると、これまでに多くのエッセイを出版している有名な方だった。 この本を読むまで、翻訳家の仕事を勘違いしていた。ただ機械的に本の内容を翻訳するだけかと思っていたが、一冊の本を訳すには、その分野の背景情報や事

    • あるノルウェーの大工の日記 / オーレ・トシュテンセン著

      他の人の生活や生き方、考えたこと・感じたことが読み取れるエッセイや日記を読むのが好きだ。 自分の暮らしの中で体験できる範囲は、だんだん決まってきていて、もっと違う何かを覗き見たいという願望だろうか。もしくは、異なる環境の中でも、自分との共通点を見つけて、安心したいのかもしれない。 目的ははっきりしていないけれど、他人の生き方を知るのはやはり楽しく、刺激になる。 この本は、ノルウェーで働く大工オーレ・トシュテンセンが書いた日記だ。大工という職業は想像できるけれど、実際にどんな

      • アイの物語 / 山本 弘 著

        小説『アイの物語』を読んだ。 ハッカーのshi3zさんが紹介されていて、興味を持ち購入した本だ。 物語は、AIと人間の支配が逆転した未来を舞台にしている。 7つの短編で構成されており、それぞれの話が最終的には全体のストーリーに繋がってくる。AIと人間の関係が少しずつ異なる設定で描かれており、どの短編も読み応えがあり、新たな気付きが多かった。 特に印象的だったのは、どの物語もAIの視点で描かれている点だ。普段目にする物語は、ほとんどが人間視点で語られている。そのため、AIか

        • その日暮らし / 坂口恭平 著

          坂口恭平さんの「その日暮らし」を読んだ。 坂口さんの名前は「0円ハウス」の頃から知っていたけれど、実は読んだことがないまま、前著「生きのびるための事務」を読み、とても大好きで尊敬する方になった。 「その日暮らしは」は西日本新聞にて連載されていたエッセイをまとめたものらしい。 新聞の連載なので、坂口さんが調子のいい時もわるい時もあり、躁状態の時も鬱状態の時もある。読んでいる私からすると、それほど違いはわからないけれど、奥さんと娘さん・息子さんの三人家族がそれぞれ違う方法で支

        ある翻訳家の取り憑かれた日常 / 村井 理子著