他の人の生活や生き方、考えたこと・感じたことが読み取れるエッセイや日記を読むのが好きだ。
自分の暮らしの中で体験できる範囲は、だんだん決まってきていて、もっと違う何かを覗き見たいという願望だろうか。もしくは、異なる環境の中でも、自分との共通点を見つけて、安心したいのかもしれない。
目的ははっきりしていないけれど、他人の生き方を知るのはやはり楽しく、刺激になる。
この本は、ノルウェーで働く大工オーレ・トシュテンセンが書いた日記だ。大工という職業は想像できるけれど、実際にどんな日々を過ごしているのか、何を考え、どこにこだわりや喜びを感じているのか、意外と何も浮かばない。
私は web のエンジニアとデザイナーの中間のような仕事をしているが、最近、大工にシンパシーを感じることが多い。
大工さんのエッセイや日記は、あまり目にする機会がない気がする。その意味でも、オーレ・トシュテンセンの日記は興味深かった。
日本では少し事情が違うかもしれないが、ノルウェーではリフォームが盛んだ。リフォーム中、工事中の家のキッチンを借りて昼ごはんを食べることもあるらしい。
見積や伝票の整理、材料の買い付け、搬入、そして施工作業など異なる種類の仕事をこなしながら、進んでいく大工さんの日々。
現場に顔を出さない設計士に対し、クライアントと直接やり取りしながら、材料費やより良い工法について考える大工の姿に、惹かれるものがあった。
根底には仕事への愛やこだわりがあって、素敵だな、自分もそうありたいなと再確認できる内容だった。