イオンに入っている本屋のエッセイ・コーナーで偶然出会った。
滋賀在住で翻訳家が書いた日常のエッセイだということで興味を引かれた。(私が京都在住なので親近感)
タイトル、カバー、そしてすごい数字が書かれた帯から、ただならぬ雰囲気を感じた。全く知らなかった著者だったが、後で調べると、これまでに多くのエッセイを出版している有名な方だった。
この本を読むまで、翻訳家の仕事を勘違いしていた。ただ機械的に本の内容を翻訳するだけかと思っていたが、一冊の本を訳すには、その分野の背景情報や事件関係者のTikTokまで調べて翻訳していくようだ。
ミステリーや殺人事件ものを得意としているらしく、事件の関係者や犯人の家族のSNSを覗いて、その人たちのパーソナリティまで把握する徹底ぶりには「そこまでやるのか!」と驚いた。アメリカでは、そういった関係者が積極的に発信しているのも興味深い。
ツラいことも大変なことも、エッセイに書くネタとして観察してしまう村井さん、スゴイ。日常の出来事に対する解像度がすごく高い。
「俺ならできる」と自分を奮い立たせながらも、出張に行ったり、養父母の面倒をみたり、子どもの成長に向き合ったり、かわいい愛犬ハリーを愛でたり、落ち込んだり、草刈りしたりと、村井さんの毎日はイベントが盛りだくさんだ。そんな多忙な中でも、仕事に情熱を燃やしている姿は本当に魅力的ですっかり村井さんのファンになってしまった。
日記の合間に突然始まる「原田とエイミー」の小説もサイコーです。
村井さんの「取り憑かれた日常」は大和書房のサイトで連載が続いていて、続きを読むことができる。