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羽菷うるはし


寄付で客 挨拶して真顔をほぐす
今日は何が出るか軽く予想
名品を希望的観測するひと
全く的外れな冗談で笑わせるひと

露地  腰掛へ
莨盆の火入は丹波に見えるが薩摩
たいてい変わった品で もてなす亭主
迎えつけ 薄笑いを噛み殺して
蹲に置かれた湯桶へ
舞い上がる湯気が
前栽の緑に吸い込まれて消える

草履の指先に ぎゅっと
力がこもる…

濡れた飛び石は乾く寸前
先の寄付での長話のせい…

躙り口から扇を突き席入り
薄暗い床には 紙表具の消息
誰の筆かは分からない…
おいおい道具組でヒントも出よう
一礼して点前座へ移る
小さく粒細かい霰釜
松風も繊細かと思いきや力強い
地から沸くような音がする
なかなかの広口…
身を左へ向け水指の前
焼締めが畳を濡らしている
小振りな南蛮だろうか
ハンネラの蓋とのコントラストが良い

今日は島物が中心の
取り合わせかも知れない…

ひとまず着座し 静寂
茶道口がスーッとあくと
亭主ニコっと笑みもらして一礼
「早よお入りを」と 正客からせかされ扇子ごとズズズ
ひとりひとり面白おかしく違う言葉をかけるがまた話しが長くからあとでと
炭手前へ急ぐ
水指が南蛮だけに
炭斗も南方の籠系というのもあり得る
香合が宋胡録あたりなら申し分ない
練り香の甘い伽羅が
待ち遠しく感じる…

いよいよ亭主  炭斗 灰器 持ち出し
炭点前が始まる
羽 鐶と手順通りの予定調和を
正客の容赦ない質問が乱す
羽は鷹だろうか  だいぶ茶色が濃い
てっきり南方の青鸞でくるかと思ったと正客が揺さぶる
本当は鶴の羽でお迎えせねばと思ってました… 亭主 やり返したと言わんばかりの顔で答える
しずけさを取り戻すどころか
鐶は お徳か 火箸は珍かと
雑談散らかること散らかること………


茶事には やはり 
ひとりでも
怖い人が入っていたほうがよい…

もしくは
どんなに散らかっても
上手く収拾して
おさめてくれるひと…


羽菷が炉壇 五徳 炉縁を清め

低く宙舞って

ポン………


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