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「MBTIは中国のフォーチュンクッキー」という知性と品性の欠片もない差別と偏見が、心理学者の口から出たという恐怖 (1)
強烈なパワーワード…痺れますねぇ。心理学の大家:故・Robert Hogan氏 (1933-2021, NY, US) が72歳の時に著した "Personality and the fate of organizations. (2006)" の中で、このようにMBTIを痛烈に批判しました。
Most personality psychologists regard the MBTI as little more than an elaborate Chinese fortune cookie.
ほとんどの性格心理学者は、MBTI を手の込んだ中国のフォーチュンクッキーにすぎないと考えています。
ほとんどの心理学者がそう思ってる…だと?おいおい、心理学界、大丈夫ですか?『ほとんど』って…9割?日々、謙虚な姿勢で人の心と向き合っている、まともな心理学者たちは、もらい事故じゃない?「MBTIにも価値がある」って心理学者はいないの?実践の中で、MBTIの解釈を融合させて患者に寄り添うアプローチを取る心理学者は『ほとんど』いないの?患者がMBTIの話を振ってきたら「意味がない」って一蹴するの?悲しそうな顔しない?
そもそも心理学の役割って「心が弱っている人を勇気付けること」じゃないんだっけ?MBTIで勇気付けられた多くの人がいる事実を、どう説明するの?「再現性」にばかり捉われて、心の「本質」を見失っていませんか?
…閑話休題。
フォーチュンクッキーとは、その中に運勢が表記された「おみくじ」が入ったお菓子のこと。アメリカの中華料理店で食後に提供されることが多く、今日ではアメリカ文化のひとつ、とのこと(実は日本由来らしい)。
さて、この発言を皮切りに、世の中のMBTI肯定派と否定派による論争が更に過熱し、今でも物議を醸しています。私はこの発言を初めて聞いた時に、こう思いました。
「あぁ…興味深いことを仰るなぁ。ネタかな?」と。炎上のネタかな?とね。炎上商法かな?ってね。今回はこのネタに釣られてみますよ。
※追記(2024.08.17)
私もネタに振り過ぎた表現があったので、一部自重しました。ミイラ取りがミイラになる所でした、陳謝。主張の方針は原版から一切変えておりません。
なお、「MBTIは中国のフォーチュンクッキー」という差別と偏見は変わらずクソディスだと思っていますが、炎上目的と思われかねないと判断したので、タイトルからは削除しました、悪しからず。
ホーガン アセスメントとは
ホーガン博士は心理学者であり、ホーガン社の創立者・社長でもあります。
ホーガン アセスメント システムズ社(米国オクラホマ州 創立者・社長 ロバート・ホーガン、以下ホーガン社)は、ビジネスリーダーの育成と選抜において、30年以上のグローバル実績を誇る人材アセスメント・テストの会社です。ホーガン社のテストは、フォーチュン500に代表される企業の半数以上で導入実績があり、56ヵ国49の言語で、タレントマネジメントに活用されています。
提供するテストの母集団は成人したビジネスパーソンのみで構成されており、ビジネス場面で使うことを目的に開発されています。
Hogan Assessment Systems
なるほど、なるほど、生粋のビジネス心理学なんですね。そらMBTIとは違いますな。MBTIは公式で、ビジネスや未来「予測」には使うな、と念を押していますから。「危険だから」ってね(以下は本家「MBTIへのいざない」から抜粋したまとめ記事)。
後に詳細を見ていきますが、一部、前情報を。ホーガンアセスメントはビッグファイブに基づいた最初の性格測定であり、科学的アセスメントだそうです。権威ある心理学者たちが結集し、定期的に更新/検証されている、と。それはそれは。職場採用やビジネスへの適用まで可能で、強みは「予測力」らしいです!なんと!それはすごい!すごい!すごい…自信だ。うん。正気か?HPには以下の様にありました。
Predictive Power
Only Hogan examines personality from every angle. By measuring the bright side, dark side, and inside of personality, we’re able to achieve the highest level of predictive validity in the industry.
予測力
あらゆる角度から性格を検査できるのは Hogan だけです。性格の明るい面、暗い面、内面を測定することで、業界最高レベルの予測妥当性を実現できます。
![](https://assets.st-note.com/img/1723493800102-0vK8TwTih2.png?width=1200)
(同上サイトから引用)
なんか…怪しいな。もの凄い強気の割に、1/4は信頼してない、と。どういったアンケートなのかも分からないし。「どちらかと言えば役に立つ」みたいな項目にチェック入ってたのもカウントしてません?それって「まぁ無いよりはマシ / 判断材料は多い方がいいからね」って意味ですよ。逆に言えば、信頼してない、っていうのは積極的に否定してる企業もある、ってことですよね。その否定的なレポートはどんな内容だったの?
「MBTIだと絶対もっと低いからね!」って主張は通りませんからね!MBTIは「未来予測なんてできるはずがない!」って声を大にして言ってますから。そもそもの姿勢が違う。MBTIは企業の採用や人事評価など「タイプに基づいて判断するなんて絶対やめてね」という謙虚な姿勢を貫いています。私はこっちの方が「まともな学者」の姿勢だと信頼を置きますがね。
タイプを個人の能力や予測に使ったり(「私はなになにタイプの秘書しか採用しない」)、といったタイプでの人の採用不採用を決めることなどは、すべてタイプの「濫用」であり、誤用である。(p.274)
性格をアセスメントする場合、個人の本質的な側面や心の習慣を理解するために考案された検査が、その個人の能力や才能、表現力などを予測できるというような見解の餌食に決してなってはならない。...(中略)…タイプ論が真に示そうとしていることとは人間のさまざまな潜在的な行動に見られるパターンである。個人の行動についての予測のほうは、すべて「神のみぞ知る」なのである。(p.287)
ホーガンさん自身も、ホーガン社のHPも、謙虚さが微塵も感じられない。このアセスメントを使用することで起きうる危険性についての警鐘が、全く見つからない。論文や研究という限定に限定を掛けた前提条件、つまり「単純な系」で統計的な有意差が出た(未来予測できた)ということと、実践の現場という「複雑な系」でも統計的な有意差が保たれるか(未来予測ができるか)ということは、全く別次元のはずです。
それこそ提出された結果をどう解釈するか、どの程度重視するかも人によって変わるし、その結果を現場にどう落とし込んでオペレーションするかも人それぞれですよね。研究と開発は、まるで違いますよ。机上の空論になっていませんか?こんな「Predictive Power」なんてパワーワード出してくるから、一気に胡散臭くなるんですよ…
そしてこれから紹介するホーガン社の記事にも、センスの欠片もない低俗な表現が溢れている。この創設者にして、この会社か、と。組織の体制として何か大事なものを見失っていませんか?モラルとか。
HOGAN < We Are Not the MBTI!
(Posted March 23, 2021)
まず記事のタイトルが面白いですよね。人気と知名度では圧倒的に負けてます、ってことを宣言する、と。そこは潔い。
でもそうであれば、先程のフォーチュン500社って、MBTIを使っている会社もあるのでは?それこそ社員にMBTIを取り入れて、コミュニケーションが活性化する様に(そもそもこれがMBTIの価値)。そうだとすれば、ホーガンとMBTI、それ以外にもエニアグラム、ストレングスファインダーなど、複合的に使っている企業が大半では?それで、企業がこれらのツールの価値を「総合的に」評価している場合、どうやってホーガン社は自社のアセスメント「単独」の効果を抽出/分析/評価したの?君らは「科学」を標榜しているわけでしょ?フォーチュン500社にそれぞれ依頼して、研究協力してもらったってこと?それはそれは莫大な金額でしょうね、ご苦労様です。その「科学的」データ出してる?分かりやすくHPにデカデカと貼りなよ。そうしたらさっきの75%はもっと上がると思うな。これは建設的な意見だよ。
(さて、これから上の記事を引用しますが、英文が長いのでGoogle翻訳したものを引用します。ニュアンスが伝わりにくい所は、原文を付記します。)
私たちはMBTIではありません
投稿2021年3月23日
初めて会う人から、私は何をしているのかとよく聞かれます。ホーガンで行っている仕事や、クライアントのために作成する性格診断について説明すると、決まって「ああ、MBTI のようなものですね」という返事が返ってきます。しかし、まったく似ていません(Well, not even close.)。ホーガンの診断と MBTI (Myers-Briggs タイプ インディケーター) はどちらも性格に関する洞察を提供するように設計されていますが、大きく異なります。アヒル(ducks)とハチドリ(hummingbirds)について考えてみましょう。どちらも鳥ですが、ハチドリが泳いだり、アヒルが空中に浮かびながら砂糖水を食べたりすること(to eat sugar water)をあなたは期待しないでしょう。同様に、MBTI が組織内で重大な決定を下すのに役立つとは期待できませんが、ホーガンの診断は自信を持って使用できます(Similarly, you shouldn’t expect the MBTI to help you make consequential decisions in your organization, but you can confidently use Hogan assessments to do so.)。その理由は次のとおりです。
ハミングバード(ハチドリ)は花の蜜を主食とし、ホバリングで空中静止しながら花の蜜を吸う、世界最小の鳥(体重20g/全長6cm程度)。高速で羽ばたくため、蜂と同様の羽音を立てる。金属光沢の美しい羽毛をもち「幸運の象徴」とされます。英語圏でもハミングバードは極めて「ポジティブなもの」と解釈されるので、この文脈における対比構造では、アヒルは言わずもがな「ネガティブなもの」の象徴として描かれています。私は一瞬で「あること」を連想しました。皆さんはどうでしょうか?良ければコメントに書いて下さい。 ※書かなくて大丈夫です。不毛でしたね。
(アヒルは可愛いだろ)
MBTIには期待できない、というネガティブな発言。ホーガンは自信があります、というポジティブな発言。この対比構造は、国語的に読み取れば、ホーガンがハミングバードだ、と。
(この時点で気分が悪い)
理論的基礎
MBTI はカール・ユングの心理学的タイプ理論に基づいていますが、これはユングの信念と観察に基づくもので、実証された科学に基づくものではありません(not substantiated science)。キャサリン・クック・ブリッグスと娘のイザベル・ブリッグス・マイヤーズはユングの考えを読み、それを使って MBTI を作成しましたが、二人とも心理学の訓練や教育を受けていませんでした(neither had any training or education in psychology)。
一方、ホーガン評価は、学際的な科学に根ざした社会分析理論に基づいています。高度な訓練を受けた国際的に有名な性格心理学者であるロバート・ホーガン博士によって作成されたこの評価は、修士および博士レベルの心理学者チームによって定期的に更新され、検証されます。(The Hogan assessments, on the other hand, are based on socioanalytic theory, which is rooted in multidisciplinary science. Created by Robert Hogan, PhD, a highly trained and internationally renowned personality psychologist, they are regularly updated and validated by a team of master’s- and PhD-level psychologists.)
ホーガンアセスメントは自信を持って使用できる…その理由がこれだ!と。つまり学歴が高い心理学者たちが作ったものだから、ということですね。へぇ
学歴とか科学(science)という単語を全面に押し出してアピールしてくるのって、なんか胡散臭いですよね。それって情弱ビジネスの典型では?今の所、ゲスいし胡散臭いって印象しかないな。
選択のためのMBTIの有用性
MBTI は選考に使用すべきではありません。これは私たちがでっち上げているのではなく、マイヤーズ・ブリッグス社がそう言っています。
ホーガン評価は、職場での使用に加えて、従業員の選抜に使用するために特別に設計されました(expressly designed for use in employee selection in addition to other workplace uses.)。実際、ホーガン性格検査は、職場で使用するために特別に設計された(designed specifically to be used in the workplace.)、最も広く受け入れられている性格モデルであるビッグファイブに基づいた最初の性格測定でした。性格のビッグファイブモデルは、過去半世紀にわたって性格心理学者(personality psychologists)によって広範に研究され、現在では性格に関するほとんどの新しい研究の基礎となっています。このモデルの多くの長所の 1 つは、その普遍性(universality)です。地理や言語に関係なく、人々がお互いをどのように表現するかを捉えます。
ホーガンの評価は、職場での適用の有効性(validity for workplace applications)を証明する30 年以上の研究によって裏付けられています。しかし、評価のユーザーは、評価結果に潜在的な人口統計的差異が生じ、それが仕事の成果に影響するのではないかと懸念することがよくあります(assessment users are often concerned about potential demographic differences in assessment results that could impact work outcomes)。一般的に、よく開発された性格測定法、特にホーガンの評価では、性別、人種、民族、年齢による比較でわずかな差異が見られ、評価対象者間の人口統計的差異に関係なく、選択の実践がより公平になることがわかります(indicating they make selection practices more equitable, regardless of demographic differences among assessees.)。
ここで分かるのは、ホーガンアセスメントというのは、はじめからビジネスで利用するために、特別にデザインされている、ということですね。つまりそれは「ビジネス以外の用途では全く使えない」ということですね。へぇ
じゃあ私からすると、全く興味が湧かないし、使い物にならないな。私は一人で働いているし、そもそもビジネスのためにやってないし。MBTIガチ勢って、自己啓発とか能力開発、交友関係改善が目的の人がほとんどじゃないですかね?その点、やっぱりユングやMBTIのアプローチだよな…と、改めて確信しましたね、私は。これからの時代、企業に頼る人って減っていきますよね。それこそ個人のアカウントをブランディングしていく人が多いんじゃないですか。時代の流れに逆行してません?
この内容でホーガンアセスメントを使ってみたい人って、個人というより組織内の管理職ですよね。効率的に管理して生産性を上げたい、って透けて見えますよ。個人の「性格」を、何かしら「評価」するんですよね、「選抜」するってことは?超内向的な天才プログラマーからしたら、なんであんたらに「性格」を「評価」されなきゃならんねん、ってなりません?性格に優劣つけるって正気か?そんな会社に優秀な個人が集まるのか?見透かされるぞ、彼らは優秀だからな。一人一人の「個性」と「能力」を見ろよ。あんたら、いったい何をみている?
『普遍性(universality)』ってのも、いちいち大袈裟なんだよなぁ…ほんとかよ?胡散臭えなぁ。。。百年後、千年後、今の会社の何%が残ってると思うの?かなりの人々は労働から解放されてると思うよ。その時でも「再現性/普遍性」って取れるんですか?働く人がいないのに?
いったん締め
(OKZKのビッグファイブ結果)
ホーガンアセスメントとは違いますが、私もBIG5-BASICという辛口と銘打ったビッグファイブ診断(無料)を先日、受けました。
![](https://assets.st-note.com/img/1723661380934-wharyyqq6z.png?width=1200)
『あなたの創造力の偏差値は「43」です。』
創造(O) 83%ですけど???
『総合的に知的感性の少し低い人と言えるでしょう。物事に対して洗練した考え方をします。』
論理破綻してるだろ。。。
『程よく人に頼ります。』
内向(I) 95% & 排他(H) 80%だが???
『思考方法に柔軟性がなく』
柔軟性あり過ぎて困るくらいだが???
ちなみに『この検査の信頼性の偏差値は「S」』だそう。この項目以外の分析も、支離滅裂。これは誰のこと?ってね。もっと詳しく見てみたい方は下の記事をどうぞ。
念を押して言いますが、これはホーガンアセスメントとは別物です。ただし、ベースのシステムはビッグファイブで同じです。「ビッグファイブ」で検索したらトップでヒットするサイトですし『月間約5万人が利用し、多くの教育機関や企業で採用』とHPにあるので本家のはず。
…君なんでこんなポンコツなん?
やっぱり気になったのは、性格特性に対して、本当に「偏差値」を表記してくるんですよね。まじかよ…ってね。HPには『個人の方は自己分析ツールとして、また企業の場合は採用時の適性検査(アセスメントツール)としてご活用下さい。』ってあるけど、これを見てどう自己改善すればいいの?企業の採用担当には『知的感性の少し低い人』って書かれてたら「こいつは馬鹿だと思え」ってこと?君らは「性格」から「能力」まで把握できるんかい?どう考えても越権行為だろ。『科学』という名のクソディスほど罪深いもんはないぞ。これを受けた就活生は、路頭に迷うだけやろがい。
(ちなみに私は九大理系学士~博士卒、元研究員、TOEIC 850、まぁ大したことないが)
それで、これが企業内でも使われている、と?つまり君らは、社員には優秀な偏差値を出せるように「性格」を変えろ、ってことですか?…あぁ「性格は変わらない」って言ってましたっけ。DNAと相関があるとか何とか。つまり生まれながらにして性格が悪い(偏差値が低い)と、雇ってもらえないってことか。そしたらみんな偽って答えるだろうね。何それ社畜管理システム?こっちから願い下げじゃばか。
…確かに、MBTIとは「対極」ですわ。
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