57冊目*僕の人生には事件が起きない(岩井勇気)
生きるセンスなんじゃなかろうか。
おそらく彼らを認識したのは、おもしろ荘だった。ハライチ=原市団地、このキーワードだけで注目した。馴染みがあった地域だったし、何度もあの辺で遊んでいる。
それだけで親近感が湧きまくる。
突然の親戚になってしまう衝動に駆られてしまう。オムツとか交換したよとか言い出しかねない自分を抑える。だって全く知らないから。
なので、改めて彼らの中身を見た時に唸ってしまった。澤部さんはメディアでよく見かけるので素敵なお父さんぽいなとか、なんでも嬉しそうだな。目は鋭いな、プロってこういう人をいうんだろうな…とお茶の間で楽しませてもらっている。
岩井さんはどうだろう。
最近見かけないなーと思ったら、テレビで見るたびにこびりついてくる存在感。ありゃ一体なんなんだろうか…。
本著、読まずにはいられなかった。
何気ない日常、芸人が語るとんでも人生ではなく普通だ。その普通を彼のフィルターで彩ればかくもこんなに愉快になるのだろうか?
言葉選び?文脈にリズム?
とにかく心地よい。
以前、父に誘われて国立劇場に落語を聴きに行ったことがある。歌丸師匠の落語を聞いた時、噛み締める笑いを経験した。
お笑い関連についてはブームもあったため触れる機会が多かった。そして腹から笑うことはあったが、この噛み締める笑いは初体験で、20年近く経った今でも思い出す。
それに近い気がする。
いやもっとこう、マーク・ロスコ(幼少期から何度か見ていたが、今回調べて初めて作者名を知った。)の絵のような、何かわからないけどなんかすごいみたいな…。
人に勧めたいと思った時に出てくる言葉は、
「まあ、うん、読んでみてよ」しか出てこない。
この感覚を言葉で表現出来ない歯痒さ…岩井さんに聞きたい。こういう時ってどうします?と。
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