作家は読者の何十倍も涙を流している 住野よる『君の膵臓を食べたい』の読み方
『君の膵臓を食べたい』は読み進めていくうちに涙がこみあげてきて、段々と止まらなくなってきて、最後はとめどもなく流れ落ちるような小説ですね。
初めて住野よるさんの作品を読みました。
ものすごく感動しました。主人公の志賀春樹の姿とずっと昔の高校生の頃の自分の姿とダブりました。
スマホなんてなんてなかったずっと昔、デートするときにそのシチュエーションにあった文庫本を持って行ったことなどを思い出しました。だからよくわかります。この作家さんの繊細なところ。
その繊細な部分を持ち続けている住野さんを本当にうらやましいと思います。ずっとその部分を大切にしてほしいと思います。
この作品を、読まれたことのある方も、これから読まれる方も、おすすめの読み方があります。
出版社によって、「桜」をモチーフにした題名を無理やりセンセーショナルな題名に変更されたのではないだろうか。社会現象の話題を無理に織り込めさせられているのではないだろうか。
これらの疑問点を差し引いて、主人公の心の動きだけにフォーカスして読んでゆきます。
主人公の目に映るもの、感じるものだけを追ってゆきます。それ以外は、ただの飾り物にすぎません。
そうすることによって、浮かび上がってくるものがあります。それが作者の本当に書きたかったもの。この物語の核になるものです。
「桜」です。
この作品は、この花になぞられて、人の生きざまを綴られています。
まさに今のこの時期に読むには最適な作品ではないでしょうか。
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