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大河内健志
2020年7月11日 14:17
「お龍」布団の中にいて寝つかれなかったお龍は、今確かに龍馬の声を聴いた。はっきりと、龍馬から名前を呼ばれた。夜明けのように障子から薄明かりが差し込んでいる。お龍は、障子を開けた。見事な満月。何処から聞こえるのか、清らかな鐘の音が長く尾を引いて流れている。向こうの山影から青白い光の玉がすっと上がった。一直線に満月に向かって昇って行く。そしてその青白い光は、満月の光
2020年7月10日 08:42
ここを飛び降りるしかない。龍馬は、欄干を跨ごうとするが力が出ない。頭から乗り越えようとした瞬間。龍馬に衝撃が走った。背中を力任せにこん棒で打たれたような衝撃。見ると、胸から角のようなものが飛び出した。大石鍬次郎が背後から、龍馬を手槍で突いたのだ。龍馬は、心臓を後ろから一息に差された。心臓を貫いた穂先は、勢い余って龍馬の体を突き抜けた。龍馬は、刺された衝撃で欄干か