マガジンのカバー画像

龍馬が月夜に翔んだ

47
運営しているクリエイター

2025年2月の記事一覧

短編小説『歴史に名を残せた人の真実、残せなかった人の理由』

短編小説『歴史に名を残せた人の真実、残せなかった人の理由』

齊藤一は京の南のはずれにある不動堂村の新選組の屯所に着いた。

陽はすっかり暮れてしまっている。

移転してからまだ日が経っていない。

香ばしい木の香りが漂っている。

大名御殿と遜色のない立派な造り。

齊藤はこの屯所に駐在したことはない。

この屯所に移る前、西本願寺に間借りしている時に御陵衛士の一員として高台寺へ移った。

だからこの屯所には馴染みはない。

どこか余所余所しい感じがする。

もっとみる