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宮本武蔵はこう戦った

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#無心

武蔵、目を覚ませ!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

 武蔵は、目を閉じたままでいる。闇夜の中にいる。

 力の限り、砂の上を走る。

 小次郎の顔が段々と大きくなる。

 燕返しの前触れである横に払う太刀の動きがない。小次郎の太刀は大上段、頭上のまま。

 それでも走る。

 目の前が小次郎の顔で一杯になった。

 ハッ!頭上に、稲妻。

 斬られる!

 思わず目を閉じる。

 思いっきり足を踏ん張る。砂の中に両足を打ち込むように、突き刺す。体が

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武蔵、斬られる!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

武蔵、斬られる!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

 小次郎は武蔵が自分の間合いに入る紙一重の時に、頭上に振りかぶっている長光を振り下ろした。一拍子といえども、ほんの僅かながら時間がかかる、突進してきている武蔵の速さであれば、切先が武蔵の頭上に達する時には間合いを一寸五分ほど超えており、充分に斬ることが出来る。

 小次郎は充分に確信を持って斬り下ろした。切先は見事に、下げている武蔵の頭上を捉えた。あとは長光の思うがままに任せておけばよかった。いつ

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