『なつのひかり』江國香織
江國さんの小説が大好きなんです、
何というか江國さんの小説は贅沢なんですよね。
贅沢な表現で溢れている、ある種、詞のような小説。
テーマや思いを考えるのではなく、世界を愉しむ小説。
(楽しむ ではなくて 愉しむ。)
この『なつのひかり』という小説も、限りなく
美しく豊かな世界を愉しむ小説です。
まず、あらすじを書くのが難しい。
試しに書いて見ると、
「私は途方に暮れた」という表現が本文中に何度も出てくるけど、
あらすじを書こうとする私も途方に暮れる。
そんな小説です。
あらすしを書くのが難しいので、試しにページをめくってみます。
ぱっとひらいたページにもこんなに豊かな表現がある。
これは夫の妻の遙子さんの描写なのですが、
美しさを描写するのに、出してくるのが「羽根布団」。
そして宇宙は薄絹にしずかに包まれてたんですね!!!?!
と何とも江國ワールドですよね。
こんな美しく豊かな表現がどのページにもたっぷりとある。
そりゃ読んでいて愉しいわけです。
解説を三木卓さんが書いておられて、そこで分かったのですが、
この小説は江國さんが20代後半で書かれたもののそうで・・・
20代後編にしてこの世界観と表現力・・・
やっぱり江國香織さんは言葉の魔術師です。
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