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詩・散文 「子供の夏の遊びの終わり」
子供の夏の遊びの終わり
夏蜜柑の木の木陰
雨上がりの垣根の匂い
無花果にはカミキリムシ
アゲハの幼虫が角を出し入道雲が湧き上がる
青大将が道を横切って
干からびた蚯蚓は水をかけても動かない
耳に張り付く蚊の羽音
キイキイキイとカミキリムシが鳴いている
足だけが歩いている
向日葵が種をばら撒いて腐っていま
した 叢には何だか分からない動物
の頭骨がありました 暗渠の奥でザ
リガニが卵を抱いて蠢いていました
蛇口を捻って水を飲めば錆びた血の味
盥の水は溢れ返り水面には顔が群れている
カミキリムシはキイキイと鳴いている
足だけが歩いている
2010年頃 岡村正敏