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哲学・日記・メモ「伝統のこと」
伝統のこと
伝統は故人とともにあり、そうである故に死の観念と不可分である。
死がそこにひたりと張り付いていないのならばそれは伝統とは言えない。
特にまた伝統は、死者の人格の集積に拠って成るのであって、非人格な「生命」やその鏡像としての「死」≠死者からは伝統は生じない。
そこから生じるのは慣習であり、慣習は伝統ではない。
慣習はその出自を非人格に求める行為であり営みであり、反復であり、うわさ話や都市伝説、民話の母体でもあり、だからそれは、どんなに膾炙されようとも決して伝統にはならない(そして歴史にもならない)。
だからと言って私は、伝統を擁護し己の立脚点にしているわけではないのだけれども。
2023年9月