ポッドキャストの失敗回とは?実例から学ぶ原因と対策 【文字起こし+反省文】
*この記事は有料記事ですが、本題は無料で全文読めます。
もこみと申します。ポッドキャストを2人で始めてから約3ヶ月。会話を録音して世界に配信するという行為は、よくよく考えるとかなり異様なことだとふと我に返る瞬間があります。
そもそもなぜポッドキャストなのか
私たち「脱字コミュニケーション」は、ポッドキャストを配信してから1週間後に書き起こし記事を出すというペースで、これまで計5本のエピソードを配信してきました。
喋っているのはライターとしても活動しているもこみと、はにかんだオタクのリサフランクという2人。いずれも学生です。
学生であるということは、「特に何の付加価値もない若者である」ということだと思います。いやはやそれは全く極端な物言いに見えるかもしれませんが、少なくとも私はそのように考えています(これはネガティヴに聞こえるかもしれないけど、むしろポジティヴな態度のつもり)。
ポッドキャストを始めた理由をものすごく簡単に言ってしまえば、ツイッターが自由に楽しく話せる場所ではなくなっているから、というのが大きな理由のひとつです。
それゆえ、番組自体に専門分野はありません。私たちは音楽の趣味を通じて知り合ったので好きな音楽の話をしてもいいのですが、意識的に音楽の話は避けています。
かなり漠然とした言い方ですが、生きていれば思うことってたくさんありますよね。確かに音楽を聴くのは2人とも大好きだけど、それ以外については興味関心の領域も違うし、大学での専攻も建築と福祉というかけ離れた分野です。
そういった「差異」があるからこそ、開かれた対話ができるのではないかと思うわけです。だから音楽の話は今のところは避けています。
ここまでは立派なことを書いてきましたが、ここからが本題です。
ポッドキャストで失敗するとはどういうことか
私たちが「失敗」としているのがこの第4回エピソード、「【失敗】埋葬」です。
これは「2010年代とかの割と最近の”死語”は顧みられることすらないので、我々がもう一度光を当ててあげよう」という趣旨の企画です。
主に取り上げたのは〈タピる〉、〈ガンダ〉、〈バカッター〉、〈なう〉、〈とりま〉の5つ。
「光を当てたい」と言いながらもタイトルが「埋葬」である点ですでに矛盾しているため、嫌な予感がしますね。
さて、一体何がダメだったのか。理由は主に2つあると考えます。
①企画の形式にそもそも無理があった。
②疲れ果てていた。
この2点について、詳しく考えてみます。
・ラジオとポッドキャストの違い、プロフェッショナル集団とアマチュアリズム
私たちが試みたのは「死語」をあげてひとつひとつ潰していくという形式です。これは素人がポッドキャストとして配信するには“キツい”形式だと思いました。
そしてその“キツさ”は、「ラジオ」と「ポッドキャスト」の違いに由来するのではないかというのが仮説です。
書籍化もしている奇奇怪怪明解事典というSpotify限定のポッドキャストで、Dos Monosのラッパーでもある番組ホストのTaiTan氏が、"ラジオのノリは持ち込まない方がいい"という旨のことを言っていました(どの回だったか見当たらないので誰か分かったら教えてください🫘)。
また、『第95巻(前編)深夜ラジオとポッドキャスト』では、“ラジオとポッドキャストのちがい”として、ラジオは話者以外にもプロのスタッフが大量についているが、ポッドキャストはそうではない(ことが多い)という点が指摘されています。
多くのラジオ番組には台本が用意されているはずで、ある程度はそれに沿って「会話」が展開されていきます。企画・台本・話者が全て別担当ということだってありますよね。そういった「プロフェッショナル集団」によるラジオ番組の形式や”ノリ”をド素人の2人組がそのままやろうとしても上手くいかないのは目に見えています。
・尺による上限/下限の制限
次にポッドキャストには尺の制限がないことについてです。これは基本的にメリットだと思うのですが、ある意味諸刃の剣と言えます。確かに絶対に30分以上は喋らなきゃいけないとか、残り5分で切らなければならないといったことが起きないのは大きな利点です。時間制限のある生放送の緊張感は、できれば味わいたくありません。伸びた部分や不要な部分は編集でどうにか調整が効きますが、プロフェッショナル集団ではない私たちには物理的な限界もあります。
時間制限がないゆえにダラダラと話し続けられるし、逆に短くてもいい。その反面、そういうプレッシャーから自由であるからこそ、何かとサービス精神を発揮しようとする側面はあるかもしれません。
特に、限られた時間で「結論」を提示しようとするとおそらく不幸な結末が待っています。
・結論の提示には要注意
この「埋葬」回は、特定の単語を「死語」と結論付ける地点から出発しています。これは結論を先行させていますね。その上、”5つの単語それぞれの話をしなければならない”という制約を自ら課してしまった点で、会話の難易度が上がってしまったと言えるかもしれません。
どういうことかと言うと、この形式だと同一番組内に「5つのコーナー」があるような構成になります。「はい、では次のコーナーです」をド素人がやるのは厳しいものがあるというのは想像に難くありません。普段の雑談でそんなことはしませんからね。それでもやるなら、なおさら入念な準備や台本が必要だったと思います。
でも雑談には台本なんてないじゃないですか。そもそも必要もないし。あるのは会話の中心となるモチーフだけです。そしてそこから脱線していくのが「会話」であり「雑談」なわけです。
これは紛れもなく『三原勇希×田中宗一郎 POP LIFE:The`Podcast』にて、”タナソー”こと田中宗一郎氏がよく言っていることにモロ影響を受けている言い回しなので、当番組の初回説明文より引用します。
当番組は2023年2月をもって終了してしまいましたが、「大きな実験」として始まった試みは、この番組が与えた文化的インパクトを考えれば明らかに大成功だったと言えるでしょう。なんだか上から目線な言い方になってしまって申し訳ないですが。。。「脱字コミュニケーション」という番組名にはこういう意味も含めているつもりです。
ともかく、「ゆる〜く雑談する」という行為を「商品」として成立させるには、台本の”必要性”と、同時に”不必要性”のバランスに注意を払うことが重要だと思いました。
・欲張り過ぎたがゆえの疲労
今回の収録は都内のレンタルスペースで行いました。時間は13時から19時までの6時間で予約。
当日の流れは以下の通りです。
第3回収録①
第3回収録②
第3回収録③(採用)
没回収録①
没回収録②
第4回収録①
第4回収録②(採用)
このエピソードに至るまでに6回も録っています。レンタル終了時間ギリギリに録ったのがこの配信回です。
最後の回では、「まずい!6時間も部屋取ったのにまだ1回分しか収録出来てないじゃん!」という焦りと、溜まりに溜まった疲労が間違いなく会話を蝕んでいました。所々で会話に覇気がなさ過ぎます。端的に言えば態度が悪い。例えば以下のやりとり。
流石にもう少し興味を持ってあげようよ!と言わざるを得ないですね。
そのせいかリサフランクの物言いはどんどん過激さを増していきます。
いえいえ、私の方こそごめんなさい。
総評として綴られた彼の反省文は、一歩間違えば闇堕ちしてしまいそうなほど悲壮感に満ちてしまっています。その一部を載せてみましょう。
流石にここまで自傷的にならなくてもいいとは思う。けど、安易に「死んだ」だの「消えた」だの言わない方がいいのは確かですね。学びました。
これは2020年8月の記事ですが、「ゲッツ」でお馴染みのダンディ坂野さん、割と忙しいみたいです。「テレビから消えた=消えた」ではない。
まとめ
以上の内容から、雑談系のポッドキャストが失敗しないための具体的な「対策」を簡単に考えると次のようになるでしょう。
・コーナー形式は避けた方が良い。
・結論を無理に出そうとしない。
・疲れた状態で臨まない。
最後に
この「反省文」を書きながら聴き返してみると、果たしてそこまで反省するようなことか?とも思います。でも、この記事を書くのは何となく自分の中にあったものが言語化されていく経験になったので良かったです。
そもそもコンテンツを作る側がタイトルに【失敗】とかつけるその自意識がいちばん寒いですね。ちなみに付けたのは私ですが。聴いてくれる人がいる以上、もう少し自己愛を強く持たなければなりませんね。反省します。
なんだかんだ結局は自意識の問題に帰ってきてしまいました。会話を収録して配信するなんていう異常なことをやっているのだから、そこに変な自意識を上塗りする必要はない。「恥ずかしがったら恥ずかしい結果になる、それが一番恥ずかしいこと」とは、私が愛してやまない&リスナーの皆様にも大人気のシンガーソングライター、カネコアヤノのインタビュー(現在記事は閲覧不可)での発言です。堂々と大きな声で歌うカネコアヤノのように、私たちもそういう気持ちでやっていきたいですね。
【番組アカウント】
Twitter(https://twitter.com/OKmiscommnctn)
Instagram(https://www.instagram.com/ok_miscommunication/)
連絡先:okmicommunication@gmail.com
今回は実験的に有料部分にコメント付きのポッドキャスト文字起こしを載せてみます。内容はこの文字起こし記事に上で挙げたようなコメントを付属させたものになります。音声ではカットした箇所も含みます。ご支援いただいた方へのささやかなお礼です。よろしくお願いします。
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