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『目の奥の解像度、工藝は井戸、音楽はトロッコ、評論はドローンの遠隔EYE』#夜中の超散文
美術館に行くと目の解像度があがる。目の奥の光を捉える網膜のその先にあるニューロン的な何かに光が渡りその空間が深くなっていく。捉えどころのない表現で恐縮だが、視点が認識する知覚的なものだけでなく思考も伴って奥深くに伸びていく感覚だ。音楽を聴くときは視覚が立体的になるが、美術作品をじっくり見るときは平面性に時間軸が追加されて直線となり目に見えない深さになっていく。例えるならば、底が決して見えることのない深い井戸。音楽の立体感のそれとは違う。音楽は景色の変わるトロッコ、評論はドローン的な遠隔EYEだ。僕は、井戸の奥深く、よーく目を凝らしてその先を覗こうとする。やがて時代を超えて目の前の工藝や絵画から当時の人の意識と結びつくような感覚になったりして感動を覚える。へ〜と相槌を打ちながら自分の頭の中はタイムスリップをしていて、その願望でオルタナティブな世界を作り出している。
そんなふうにMOA美術館を歩き回り、タイムスリップしながら過去と未来と明日の工藝の円環をなした。時代を越えるたびにライフスタイルの適応とそれをどう表現していくかという表現の力に魅了される。まず、そもそもこういう他人の作品に主体的に触れる行為そのものがひさびさな感じがしたので、工藝について深く考えるというよりかは、他人の表現は自分の素材であることを実感するにとどまった。
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時代というものは、見えるようで見えない。しかし時代に正対していると、その時代特有のものが何であるか見えるのではなかろうか。
職場の先輩がメモに残していた阿久悠の言葉を思い出す。おりゃ!と気まぐれにタイムスリップをして過去未来の円環をなせば、自ずと同時代性の表現者としての僕が立ち現れる。
インターネットの海の中で、想像力の共有物とも言えるタイプビートを自分と他者の関係性の上で言葉を紡いでデザインされてきた僕の音楽はどう世界と繋がりを持つことができるのだろうか。
音あそびに興じる余裕派か、複雑な世界を組み合わせるコラージュ世界の人物か。段々と自分が次のアルバムで表したい世界観や考えるべきことが浮かんでくる。はたまたフィルターバブルの中で憂う旅人の一人なのか。
「今日は答えが欲しくて」
「答えを持ったらそこで終わり」
「えっ?」
「問を持ったらそこが始まり わからないことのほうがワクワクしない?」
「答えをください!」
「答えは…」
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