私は何者か、19
会えば、そのあとのことを考えてしまう。
別れると、また、すぐに会いたくなる。
ああしておけば良かったとか、こうしておけば良かったとか。ね。
それは、でも、お互いにそうらしくて、いつも何故かひとつ前だったり、後だったり、微妙にそのずれさえが同位角なのだ。
同じ音楽を聴いて連想するもの。
同じ景色を見て思い出すもの。
違う椅子に腰かけて、同じことを考えている。
カーブを曲がった先の風景が互いの想像通り。
彼の選ぶTシャツはたいてい私好み。わたしが10年も前に買ったイタリア製のセーターの首のあたりに触れながら、これいいね、と。まるで、フラニーとゾーイの、そう、あの駅のシーンみたいに。あんなにストイックではないにせよ。
誰かが泣いていたのは知ってる。
それは私であり、彼である。
ちょうど1年たったけど、それでもまだ知りたいと思う。
もっと知りたいと思う。
恋するということはバカバカしすぎて恥ずかしい。
耳まで赤く染めて、何をためらう。のだろうか。
生きることが今すべて。
あなたもそうであるのなら、なお良い。
そして、
私は何者か。