渋滞を避けるための脇道で、我らは恋に落ちた。刈り取られた水田は乱暴な筆致。空に広がるゆふぐれは与えられたキャンバスをいとも容易く通り過ぎてゆく。風が吹けば同じように首を傾げて、おまえたち、それでは私の家来にはなれまいに。けれど、美しさにおいてはかくも従順。足早に過ぎたのは野兎か。

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