企画小説『扉』1
※初めに
企画小説なるものを始めたいと思います。この小説が完まで続くかは読者の皆さんの評価次第にしたいと思います。毎回設定する「スキ数」がクリアされれば、続きを書くというものです。クリアされなければその時点で終了です。設定スキ数は段階的に上げていきます。
今回の設定スキ数は5以上です。
『チッ』
ゴミ箱に投げつけた空き缶は、的を外れて、床へと転がった。空き缶の音が部屋に響き渡り、何度も耳の中で反響する。カーテンの隙間から差し込む輝かしい朝陽。机にばら撒かれたたった6枚の小銭。全てが腹立たしい。重い腰を上げ、272円を握り締め、唯一自分を慰めてくれる酒との出逢いを求めた。
ーガチャー
ーガチャー
『社長、失礼します。』
午前中、人事部長からメールが入った。13時に社長室に行くようにとのことだった。もうこの会社に入社して5年になるが、社長室に入るのは、ちょうど10回目だった。
『おー、来たか。まぁ座りなさい。君、いくつになった?』
『27歳ですが・・』
もう嫌な予感しかしない。この会社は街の中小企業だが、インバウンド需要を取り込み、それなりの業績だった。しかしながら、隣国からやってきた未知のウィルスのせいで、業績はガタ落ち。入社5年以上の者で肩叩きが始まってると言う噂を知っていたからである。
『そうか。まだまだ将来は明るいな。うちの会社でなくてもな。』
やはり、そうだ。次の言葉が出るまでは反論する気満々だった。
『こないだの取引中止は、君に落ち度があったらしいぢゃないかい。』
急にアイスバケツチャレンジをされた気分だった。取引中止の連絡があった先方に面談しに行く際、後輩が遅刻したのがいつの間にか、自分のせいにされている。確かにあの時、責任は俺が取るからと後輩に言ったが。。。その後輩は、社長の息子さんと友達だった。
ーもうこんな会社で働きたくないー
そう思った瞬間から後のことは全く覚えていない。気が付けば、ドアノブに手を掛けていた。決して明るくない未来の扉に。。。
続く?