北海道北見で素材作りからオンライン販売まで全部やってるよ
こんにちは、三浦です。
僕のお店から販売されている「はじまりのトマトソース」。
これは僕の商品といえばそうなんだけれど、このトマトソースができるまでには北見の人たちの協力がある。
今日は、少しだけその人たちのことを話したい。
まず僕はトマトソースを作るために、トマトを作る必要があった。
商品のためのトマトを作るわけだから、相当量を収穫できなくちゃいけない。
北見の農家さんにトマト作りをお願いできないか訊いて回ったけれど、既に取り組んでいる作物があるからなかなか難しい。
そんななか、協力してくれたのは高齢の農家さんだった。
現在は規模を縮小して農業をしているから、場所なら貸せると打診してくれた。
そこで、僕は50メートルのビニールハウスを1本借りて、トマト作りを始めた。
加工用のトマトは、生食用のトマトよりも作るのが簡単なんだ。
ハウス内が混みあわないよう注意してあげれば、すくすく育つ。
レストラン経営のかたわらトマトを育てることで、僕はトマトソース作りの第一歩を踏み出せた。
初年度から1トンものトマトを収穫できたのだけれど、今度はそれを加工して、保管しなければならない。
とてもじゃないけれど、僕ひとりの力ではできない量だった。
そこで頼ったのは、北見で食品加工工場を営むグリーンズ北見さん。
グリーンズ北見さんは、主に玉ねぎのソテーなんかを加工して商品化している。
実は、食材を地元で加工している工場はそう多くないんだ。
北見で採れた食材も、だいたい札幌や道外に委託しなければ加工できない。
そのなかで、グリーンズ北見さんは珍しく地元で加工を営んでいた。
だからトマトの加工はできるかどうか、思い切って相談してみた。
するとグリーンズ北見さんは「やってみましょう」と、こころよく相談に応じてくれた。
トマトを煮潰して、冷凍ストックを作る行程を請け負ってくれることに。
そのおかげで、僕は加工にかかる1億近くの予算を節約することができたんだ。
「これ以上増えたらできないよ」なんて笑われるけれど、工場も人手不足で大変なときにこうして力を貸してもらえて、感謝しかないよ。
こうして「はじまりのトマトソース」商品化は実現へと近づいていった。
そのあとも、僕はトマト作りをお願いできる人を探していた。
でもこちらは、協力者がなかなか見つからないもんでね。
人手不足で悩んでいるのは工場だけじゃない。
新しいトマトを植えることに積極的な人はいなかった。
困っていたときに出会ったのが、NPO法人「とむての森」さん。
「とむての森」では、障がいのある人々が地域で暮らしていくための支援をしている。
プロジェクトの一つとして、施設の人々が野菜作りに取り組んでいることを知った。
僕はさっそく「とむての森」に、トマトを作ることはできないか相談してみた。
その結果、もともと僕がトマトを作っていたスペースで、施設の皆さんがトマトを作ってくれることが決まったんだ。
「はじまりのトマトソース」の原材料の作り手は、それから「とむての森」に一任することになった。
この前は「とむての森」の皆さんに作ってもらったトマトを活かしたメニューを、僕のレストランで楽しんでもらったよ。
さらにそのあと、「はじまりのトマトソース」をよりおいしく食べてもらえるように、パスタとセットで売ることを思いついた。
これも北見で製麺所を営んでいる津村製麺所さんにお願いすることになってね。
ウェブ制作やマーケティングについて相談しているふぉろかる合同会社も、北見の会社なんだよ。
こうして振り返ってみると、本当にたくさんの北見の人が「はじまりのトマトソース」に関わっている。
っていうか、全部北見だね。
こうして北見であえて仕事を集約しているのを見ると、地域活性化みたいな話に見えるかもしれない。
でも、僕はそういう話は好きじゃない。
ちゃんと顔の見える相手と仕事がしたかったんだ。
札幌や道外にお願いすれば、いくらだって完璧に仕事をしてくれる人はいるんだろうけれど。
ここでお互いを知り合って、関係を築きながらビジネスできるつながりを広げたかった。
それに、技術という資産を地元に遺していきたいという想いはあるんだよね。
そのほうがおもしろいから。
僕が引退したあとも、トマトから生まれたコミュニティが北見で育ってくれたらいい。
障がいを持っている人たちに、トマト作りという仕事を続けていってほしい。
北見でゼロからヒャクまで出来上がる商品が成功したら、それは価値があることだと思う。
挑戦っていうほど、たいしたことじゃない。
おもしろいから誰もしていないことをしてみたい、それだけだから。
―INFORMATION―
「はじまりのトマトソース」オンラインショップ
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取材・文 宿木雪樹
デジタルマーケティングプロデュース ふぉろかる合同会社