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混雑している展覧会での、密かな楽しみ方
私は美術鑑賞が好きで、よく美術館に足を運びます。
特に印象派に関心があり、先日は上野の国立西洋美術館で開催されているモネ展に行ってきました。
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日本での印象派人気は凄まじく、私が訪れた午前中の時点で当日券の窓口は大行列。館内も入場規制がされるほどの盛況ぶりでした。
クラシック音楽のコンサートであれば、満員御礼は大歓迎。
客席が埋まることで音の響きが良くなることもあり、むしろ好きです。
でも、美術館での混雑となると話は別。
絵画の前でじっと立ち、心の中で対話しながら鑑賞したいと思っても、なかなかそうはいきません。
正面でゆっくり絵を眺める余裕もなく、後ろや左右から感じる静かな圧に押されながら、次の絵、次の絵へと流れていくのが現実です。
そんな中で私が大切にしているのが、「混んでいるからこその楽しみ方」。
それは、周りの人たちの感性を聞くことです。
クラシック音楽のコンサートでは、演奏中の会話はもちろんご法度。聴きながら自分の感性と向き合うことが中心になります。
演奏会後の帰り道で、周りの人たちの感想を耳にすることはあっても、鑑賞中に他の人の感性を感じ取ることはほぼありません。
その点、美術館では、隣にいる人たちの何気ない言葉が耳に入ってくることがあります。
これが、意外な発見の連続なんです。
例えば、モネの絵を見ていたときのこと。隣にいた女性たちがこんな感想をつぶやいていました。
「千と千尋の世界みたい」
「なんだか物騒だな」
私自身は絶対に抱かない感想です!
でも、それを聞いて、「なるほど、そんな見方もあるのか」と心の中で思わずうなずいてしまいました。
もちろん、一番理想的なのは、混雑していない展覧会で心に余裕を持ちながら、じっくりとアートと向き合うことです。
でも、人気の展覧会では混雑は避けられません。
そんなときこそ、周りから聞こえてくる多様な感性を楽しむのも一つの方法。
無料で付いてくる「もう一つの音声ガイド」くらいの気持ちで、耳を澄ましてみてはいかがでしょうか。
混雑した美術館ならではの「密かな楽しみ方」を見つけると、新しい視点でアートを味わえるかもしれませんよ。