映画と映画館の思い出が繋がっている話をいくつか。
まずは、わたしが平成はじめ高校生だった時の、映画の日の思い出だ。
今現在、正式な映画の日は12/1のみで1000円で見ることができる。
しかし私の学生時代は、年に5回の映画の日があり、700円で見ることができた。(のちに1000円となる)。
高校時代、映画の日と学校の休みが被った時があり、友達と映画を2本ハシゴすることになった。
そのうち一本がシネスイッチ銀座単館でやっていた「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)。
映画愛に溢れた作品は有名だが、すばらしいテーマ曲が今も様々な場面で使われているので、それと知らず耳にしている人も多いのではないか。
やさしさと切なさに包まれるようで、今も不意に耳にすると、ウルウルする。
ハシゴしたもう一本がなんだったか思い出せないでいたのだが、今、書きながらふと、思い出し、公開時期を確認して確定。
ジョン・ローン主演の「チャイナシャドー」である。
今や、若い人のみならず、知る人は少ない気がするが…。(自分も忘れてたし)
ジョン・ローンはそれ以前に、アカデミー作品賞になった「ラストエンペラー」に主演しており、当時色気のある実力派イケメン男優として人気であった。
ということで、たしかジョン・ローン好き友達の推しでそれが選ばれた。
(最近亡くなった坂本龍一もラストエンペラーでアカデミー作曲賞を受賞しており、これもオリエンタルな名曲だ)
「チャイナシャドー」を新宿か池袋で見て、それから銀座に移動した。
二本目の「ニューシネマ・パラダイス」を見た後、映画館を出た時の日差しの眩しさと、「チャイナシャドーを先に見て良かったね」と話したことを覚えている。(「チャイナシャドー」はイマイチだったので、よい方の余韻で終われたと)。
二つ目の思い出は、同じ高校時代。
映画の試写会に初めて行ったのだ。
吉田秋生の漫画が原作の「櫻の園」(1990)だ。
漫画も好きだったので、抽選に当たってラッキーだった。
ペア当選だったかもしれないが、平日の夜?で電車通学だった私は学校帰りに一人で行った気がするが。ちょっと曖昧。
でも、舞台挨拶があった気がする。
映画も、程よい湿度と透明感で、よい「間」のある映画だったと思う。
女子高が舞台で女の子がいっぱい出てくるのだが、素人っぽい演技の子もいて、それが逆に「女優の演技のリアル」でなく「今を生きる女の子の素の生々しさやリアル」として映画の役に繋がっている感じがおもしろかった。
今も好きと言える一本だ。
映画に出ていた中島ひろ子さんは、今も時々ドラマで見かけて、いい味を出していて、そのたびに「櫻の園」を思い出す。
三つ目は大学生になってから。
これも友達と二人で「ピアノ・レッスン」(1994)を見た。
しかも2回続けて。
「続けて」の意味だが、一日の上映の中で連続で見たということだ。
今は、どの映画館も一回ごとの入れ替え制だが、昔は違っていた。
一度入場したら、一日中同じ座席で映画を見続けることも可能だったのだ。
そんなわけで、その日、わたしたちは一回目は一階席で、続けて二回目は席を移動して二階席で見るということをした。(どこの映画館か忘れたけれど、今は珍しい構造)
一度目で呑み込めなかったところや、もう一回見たいシーンをじっくり味わえるという贅沢。
「ピアノ・レッスン」も、哀切な響きのあるピアノ曲をはじめ音楽が印象的で、当時、サントラを買ったほどだ。
当時の映画館事情だが、今のようなシネコンはなく、単独の映画館がたくさんある状況だった。
当然オシャレなロビーやフード売り場もなく、せいぜいドリンクとポップコーン。ただし、持ち込みは自由だ。
一回入場したら時間無制限だし、入場退場のタイミングもフリー。
ネット予約もないし座席の指定もないので、人気映画の場合は、前の回の上映が終わる直前くらいに館内に入り(映画のオチは見ないように)、終わったと同時に空いた席の争奪戦に。
そして、その状況なので、立ち見すらあったのだ。
書きながら猛烈に懐かしくなってきた。
薄暗いロビーでパンフレットを買って、座席でスクリーンを覆っていたカーテンが開いていくのを見て胸躍らせたあの頃。
映画は映画専門誌で情報を仕入れ、映画館で見るもので、今より特別感があった。
#エッセイ #映画鑑賞 #好きな映画 #吉田秋生
#映画にまつわる思い出 #櫻の園 #ピアノレッスン #チャイナシャドー #ニューシネマパラダイス #映画館 #映画の日 #中島ひろ子