「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ17 不動産編①
<不動産-昭和の土地神話>
さて、現在50代以上の方なら記憶に残っていらっしゃるかもしれないが、昭和の高度成長期には「土地神話」なるものが存在し、深く信仰さえされていた。曰く、土地は絶対に値下がりしない、というものである。住宅ローンで家を買うという最強スキームで、何の疑いもなく皆が幸せになれた「昭和は良い時代だった」と懐かしむ団塊の世代の方も多かろうと思うが、平成に入り「神話」はもろくも崩壊。大変な思いをした方も多かっただろう。
それでは日本の不動産投資には今後うま味がないのだろうか? いや、そんなことはない。特にデフレを生き抜いてきた若い世代は半信半疑だと思うが、バブルとまでは行かないまでも、世界に目を向けると日本の不動産はこれからまだまだ可能性を秘めている。
2020年のオリンピックが終わったら東京の不動産価格が下落すると囃す向きもあるが、大局的な流れとは無関係であろう。昭和から平成がデフレへの大転換だったように、フィンテックなどの技術革新とも絡み合い、令和の時代も新たな大転換になる可能性もある。次の大きな波にうまく乗ることだ。
次章のロンドンの不動産の話を参考によく考えてみて欲しい。
<20年前のロンドン - イギリス人にロンドンの不動産は買えない?>
20年前にロンドンにいるイギリス人の知り合いが:
「こんな値段じゃイギリス人は誰もロンドンの不動産を買えないよ」
と嘆いていたのを覚えているが、それから20年経った今、ロンドン中心部の住宅地の地価は下がるどころか更に倍以上に上昇している。イギリスの人口は日本のほぼ半分の6,600万人しかいないのになぜこのような事になったのか? 「少子化」が日本の不動産価格下落の要因と言う人もいるが、ロンドンの例をみれば少し合理性に欠けていると思う。
筆者の知り合いが指摘していた通り、ロンドンの不動産を買い上げた中心はイギリス人ではなくエジプトなどアラブの石油資本やその他英国外からの資金であった。イギリスではビッグバンを経て金融が自由化され、資本規制などが撤廃されて国外資本が流入しやすくなっていた。結果、特に金融センターとしての価値を見込んでロンドンに人もお金も大量に流れ込んだ。
ロンドンの地下鉄に乗った時に、あまりの人種の多さに驚いたことを強く記憶している。あれが「国際都市」ロンドンの強みであり大きな変化を呼び込んだのであろう。そういえば、最近東京でも外国人を見かけることが格段に増えたと思わないだろうか? 筆者にとってのデジャブである。
其ノ18は不動産編②。世界的な金余りと不動産市場の背景について。