見出し画像

「大借金」の後始末 - ”株帝国” アメリカと「関税」≓「消費増税」

 2月米総合PMI 50.4 予想 53.2 前月 52.7
 *新規受注 50.6 前月 53.7
 *雇用 49.4 前月 54.0
 *投入価格 58.5 前月 57.4
 *販売価格 53.9 前月 51.6
 サービス業 49.7 予想 53.0 前月 52.9
 製造業 51.6 予想 51.4 前月 51.2

 2月米ミシガン大学消費者マインド指数 64.7 予想 67.8 前月 71.7
 *1年先インフレ期待 +4.3% 予想 +4.3% 前月 +3.3%
 *5-10年先インフレ期待 +3.5% 予想 +3.3% 前月 +3.2%

 1月米中古住宅販売 408万戸 予想 413万戸 前月 429万戸 ← 424万戸
 *在庫 118万戸(前月比+3.5%)-
 1月としては2020年以来の高水準
  *販売価格(中央値)39.69万ドル≓5,900万円(前月比+4.8%)
  - 100万ドルを超える高額物件で売買が活発

  ”株帝国” アメリカとしては気持ちの悪い経済指標が続いている。企業活動の動向を示すPMIは特にサービス業が不調で節目となる@50を割り込んだ。更に消費サイドでは2月米ミシガン大学消費者マインド指数が予想外の低下。特筆すべきは1年先、5~10年先のインフレ "期待" (懸念?)が顕著な上昇を示していることだ。これはもちろん「関税」政策が影響している

 ”MAGAのために他国と闘う大統領”

 やたらと派手な言動が目立っているが、「大きな政府」と「小さな政府」- どちらの ”ポリシーミックス” を選ぶのか|損切丸 的視点で「お金」に注目すると、米共和党の伝統的な「小さな政府」路線で進んでいることが判る。政府関連で大量解雇したり「関税」≓「消費増税」で消費者負担を増やしたり。やっている施策は「失われた30年」で財務省が主導した「財政健全化至上主義」に近い

 結果何が起きているか。「関税」≓「消費増税」による強制「インフレ」で値段の上がることを懸念する消費者の財布は堅くなり、支出を控えるようになる。最もダメージが大きいのがサービス業で、一方「関税」分値段を上乗せするだけの製造業ではそれほどでもない

 更に懸念されるのが株価下落による「逆資産効果」

 ご存じのようにアメリカは日本と違って家計でも結構な額「株式投資」している。だから「異次元緩和」や2024年に10兆円近く米株に投資した「新NISA」など やはり「過剰流動性」の総本山は日本 ー 「結果」を得るには一度「苦況」を乗り越えなければならない|損切丸 の強力な支援を受けた ”株帝国” アメリカは株価上昇という「順資産効果」によって消費が増大してきた。いわゆる株による ”含み益” が牽引して住宅ローン金利が@7%になっても住宅投資は止まらない。まあこれは日本の「バブル期」も同様だ

 こういう ”倍々効果” で拡張した経済は反転すると縮小速度もまた速いアメリカは一種の "株価上昇中毒" であり、株価が下落トレンドに転じれば "逆スパイラル" に陥る「円高」「株安」のダブルパンチを食らっている「新NISA」も同様。最早FRBにとって株価下落阻止は至上命題になっている

 だがここに立ちはだかったのが「インフレ」≓「大借金」の後始末

 日本では日銀が+0.50%「利上げ」しただけで「日銀が債務超過!」などと大騒ぎしているが、政府債務が日本(11兆ドル)の3倍以上のアメリカ(34兆ドル)の国債金利は@4%台。いくら経済が好調でもこれはとんでもない負担だ。だから共和党政権が「増税・歳出削減」に取り組むのは不可避「インフレ」抑制にも「利上げ」より効果的

 ”関税はインフレを助長する”

 今のところエコノミストも経済メディアはこういう主張ばかりだが、筆者は懐疑的だ。「関税」≓「消費増税」である以上「景気」ひいては「インフレ」には抑制的に作用するはず。例えば日本で「消費税」が+25%になったらどうなるか。その事は金利が低下気味の米国債市場が証明している。株が下がっては困る「ウォール街」等投資銀行業界の ”都合” が全面に出ている

 株が下がって困るのは 続・ "Tariff Man" (関税男)の泣き所 - 「世界恐慌2.0」は避けられるか|損切丸 も一緒。特に莫大な不動産関連の資産を保有している身なので、どこかで手のひらを返してくる可能性は高い

 筆者が一つ心配しているのは "Tariff Man" を含む大国の "独裁者" が70歳を超えて80歳になろうとしていること人間老齢になると前頭葉の働きが落ちて抑制が効かなくなるらしい。1期目に比べて言動・振る舞いがより傍若無人になっており、元ビジネスマンとしての「お金」に対するセンスが失われている感じを受ける。日本でも80代で与党幹事長や大手メディアの会長に居座り続ける例があるが、これを周りが止めるのは大変だ

 東欧や中東での「停戦」にご執心のようだが、今のやり方ではとても「ノーベル平和賞」の対象にはなるまい。もし選ばれなかったらノルウェーに「関税」をかけると脅すのだろうか(苦笑)。アメリカに限らず日本もヨーロッパも「大借金」の後始末については同じ課題を抱えている。抑制の効かない高齢者による "独裁" で世界が変な方向に突っ走らない事を祈るのみ。 悪い ”胸騒ぎ” ・再び|損切丸 のタネは増えるばかりである

いいなと思ったら応援しよう!