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グループワークの段階的細分化と時間設定のやり方

これからプレゼント・デザイン、パスト・デザイン、フューチャー・デザインの具体的な方法論に入っていく前に、少しメタなグループワークの設計についてお話しておきたいと思います。今回のテーマはグループワークの段階的細分化とその時間設定についての方法です。関連資料は以下をご参照ください。

学部生(特に1年生)を対象にグループワーク授業を設計する場合、できるだけタスクを細分化し、進捗を確認しながら、ステップ・バイ・ステップで進めていくことが重要です。大学院生であれば、さすがにいろいろな修羅場をくぐり抜けてきているだけあって、大まかな指示でふわっと始めても結構しっかりと進めてくれることが多いです(頼もしい!!)。しかし、学部1年生はまだ圧倒的に経験が不足しています。大きなテーマを与え、長時間フリーにして「あとはみんなで頑張って」だと、期待通りに進むことはまずありません。

教員として課題解決型授業(プレゼント・デザインに相当)の受講学生に期待していることは、与えた大テーマについて調べ物をしたり話し合いをしたりして具体化に取り組むテーマを決め、そのテーマにおける問題点を整理し、複数の解決策を打ち出し、多面的な検討を経てその中からベストな解決策を選択したりより良い解決策を提案したりするというような一連の流れですよね。これを着実に進めていくには、タスク立案と時間管理までは教員がやってしまうことが必要だと思います。学生の自主性は多少犠牲にせざるを得ないですが、全部学生さんに丸投げしてしまうと、予定時間が終了してもまだ半分も進んでいない様子が目に浮かびます。

タスクを細分化する理由は他にもあります。たくさんの一連のタスクを一度にバッチリ説明するのに必要なスライドは何枚くらい必要でしょうか。3枚でしょうか、5枚でしょうか、場合によっては10枚くらいになるかもしれませんね。それだけ長くなってしまうと、学生は何から手を付けていいか忘れてしまっています。そうすると、配布資料を見返して、やるべきタスクを確認して手順を理解するという作業が必要になってきます。限られた授業時間の中で、ここに時間を使ってしまい、本題の議論がおろそかになってしまうと本末転倒ですよね(そういうスキルを鍛えることも重要なのですがそれは別の機会で)。

そこで、一度にまとめて行うタスクは2つまで(さらに細かく指示すると3つまで)とし、1枚のスライドで収まる分量に留めることをおすすめします。前半で調べ物をする個人ワークを10分程度、後半でそれを順番に説明しグループで話し合うグループワークを20分程度にします。そうすることで、30分で1つのトピック(例えば、医工学の実態を調べて共有する)が終了します。私の教材(未来の医工学を考える①)の31枚目を見てください。ここではさらに後半を細分化して、「言い出し係から順番に書いたことを口頭で説明する」ワーク(1人数分)をした後で、「医工学研究によって受けている恩恵と弊害を洗い出す」話し合いのワーク(残り時間)をするという流れにしています。

このように考えていくと、同じように各トピックを組み立てていくことができます。時間に余裕があれば話し合いの時間を少し長めにとっても構いません。しかし、あまり意見が出にくいグループだと時間を持て余してしまう場合もあります。より上級者向けに言えば、ある程度バッファーを持たせた設計にしておいて、クラスの雰囲気を見ながら調整できれば尚良しです。

基本の時間配分(2タスク30分)が決まれば、あとは何時何分までに終えるべきかを見積もり、タスクの予定終了時刻をスライドに書き込むと良いでしょう。予定通り進まないと随時時間を修正しながら進めないといけなくなるのはとても面倒ですが、事前にしっかりシミュレーションをして多少余裕を持たせて設計すれば、あまり修正は必要ないはずです(それを目指しましょう!!)。スライドのノートに書き込んで自分だけ見えるようにするのも一つの手ですが、それだと学生さんが終了時刻を確認できません。授業でいろいろな説明をして情報量が増えてくると口頭説明だけだと聞き逃してしまうことが増えるので、やはりスライドで明示するのがベターです。

以上を参考に綿密な計画を立て、グループワークを準備してください。なお、同じタスク(聞くだけ、調べるだけ、書くだけ)は15分~20分続けると集中力が落ちてきますので、その前に違うタスクに切り替えるとリフレッシュさせることができます。基本的に、私のグループワーク授業で眠そうにしている学生はいません!!

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