フューチャー・デザインのやり方(後半)
フューチャー・デザイン(未来人ワーク)のやり方、特に私が最近やり始めた劇場型フューチャー・デザインのやり方を以下の関連資料に沿って解説していきます。ここでは、2コマ連続(180分)で終える設計となっており、今回はその後半90分の内容を解説します。
ここまで6日間で10本もの記事を書き下ろしてきましたが、今回でフューチャー・デザインの授業解説は一旦終了となる予定です。では始めましょう。
全体発表1(15分)
前半で取り組んだフューチャー・デザイン(未来人ワーク)の結果を発表してもらいます。発表してもらう内容は次の2点です。これについて発表してもらいますよ、ということを前回のワークをする前に予告しておくといいでしょう。
2074年の何を実現/軌道修正するために
2024年の誰に何をどうしてもらうか
班活動5(リクエスト内容の具体化)(25分)
短時間の未来人ワークでは、現在人へのリクエスト内容は漠然としたものにならざるを得ません。しかし、せっかくフューチャー・デザインに取り組んでいるので、時間に余裕があればもう少し深堀りし、具体化しておきたいものです。私の授業では、次のようなポイントで具体化案を出してもらっています。その際、ネット検索したり、ChatGPTに聞いたりしても良いことにしています。
もっとも効果が高そうなリクエストは何か
もっとも実現可能性が高そうなリクエストは何か
現在世代に本気で取り組んでもらうとしたらどのリクエストにするか、1つに絞ろう
現在(2024年)に帰ります
ここまで来て、ようやく現在(2024年)に帰ります。「家に帰るまでが遠足」ですので、劇場型フューチャー・デザインは帰りも手を抜きません。行くときと同様のタイムリープ画像と帰る時用の音声を使い、タイムマシンを起動させればあっという間に現在です。関連資料の38枚目(pptx)を再生してみてください。帰ってくると自動的に「おかえりなさい」が表示されるようにしています。海外出張から戻ってきて、空港で「おかえりなさい」の文字を見るとほっとするアレと同じです。そのエピソードを話しながら「おかえりなさい」を見せると、たいてい軽くウケます。
班活動6(プレゼント・デザインとフューチャー・デザイン)の比較(25
分)
プレゼント・デザインの時にも書いた通り、グループワークはやりっぱなしで終わらせず、これまでの議論について自己省察したり、そのワークの効果を分析・考察したりして終わりましょう。特に未来人ワークによって新しい思考ができたとすれば、何が違ったのか、なぜ違ったのかを分析・考察することはとても重要です。思考の変化については、個人とグループのそれぞれで考えさせてみると良いと思います。そしてその分析・考察についてこの後の全体発表で、クラス全体で発表してもらいましょう。
全体発表2(15分)
最後の全体発表で話してもらうことは次の2点です。
プレゼント・デザインとフューチャー・デザインで考え方はどう変わった/変わらなかった
なぜそのようになったのか
ここでは、分析・考察について話して欲しいので、考え方が変わっても変わらなくても、なぜそのようになったのかをしっかり話してもらいましょう。そのように指示を出しても発表では1.のみしか話さない人が一定数います。授業も最終盤に差し掛かり、集中力が落ちてきているからか、1.をまとめるだけで精一杯だからかわかりませんが、2.がなければ教員から質問して聞き出しましょう。
来週の予告と宿題、活動報告、後片付け(残り)
これでプレゼント・デザイン、パスト・デザイン、フューチャー・デザインの全てのワークが終了しました。そして、プレゼント・デザインとフューチャー・デザインの違いも学生自身で分析・考察しています。ここまで済ませていれば、それをしっかりと報告書に書いてもらいましょう。その内容を教員が分析・考察することで、次のフューチャー・デザイン授業への改善が見えてくるかもしれません。
かなり長々と書いてきた授業解説にお付き合いくださった方はありがとうございました。他に、大学院生向け集中講義(全8コマ)のフルセット版・フューチャー・デザイン授業も、脳科学の授業中に行った2コマ完結の短縮版フューチャー・デザイン授業もありますので、余裕ができたらそちらの資料共有と解説記事執筆を行うと思います。ご期待ください。