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今を生きる

小学生の頃、NHKで甲子園を見るのが大好きだった。
最高だったのは、松坂世代が集った1998年夏の大会。準々決勝明徳義塾戦の大逆転劇、準決勝PL学園戦の死闘、決勝京都成章戦でのノーヒットノーラン。漫画よりも漫画な展開に、毎日ワクワクドキドキしながらTVの前に齧り付いていた。

彼らはみんな「今」を生きていた。「今」を懸命に生きていた。
だから、あんなにも輝いて見えたのだと思う。

そんな輝いている彼らと自分を比べてしまうと、なんでこんなに自分ってダメなんだろうと思う。幼い頃に思い描いていた理想の自分とは程遠い現実が嫌になる。

でも、人と比べる必要も、理想の自分と比べる必要もない。比べるとしたら、過去の自分で良いのだ。過去の自分と比べると、今の自分は随分成長できている。

理想の自分と比べて足りないものを数えるより、過去の自分と比べて手に入れたものを数えてみる。

選ばなかった選択肢を後悔し、「あの時◯◯していれば・・・」と考えても現実は変わらないし、まったく意味がない。間違った選択をしてしまった自分を責め、余計に自信を失ってしまうだけだ。

あの時違う選択をしていたら、「今」手に入れているものは手に入っていない。だとしたら、違う選択をしていたとしてもきっと後悔してしまっているだろう。

だったら、過去ではなく「今」に目を向けることだ。
過去を振り返って失ったものを数えるよりも、「今」手元にあるものを数えよう。

人生は選択の連続だ。何かを失い続けているし、何かを手に入れ続けている。
だったら失ったものよりも、手に入れたものを数えた方が絶対に良い。
ほんの少しでも変化したことを喜び、ほんの少しでも成長できたことを自信にする。そうやってプラスを積み重ねて未来の「理想の自分」に近づいていくんだ。

「今の自分」から少しでも加算していくこと。それが「今を生きる」ことだと思う。今更甲子園には出られないけれど、彼らと同じように「今を生きる」ことはきっとできる。そう信じて、また今日もほんの少しのプラスを積み重ねて生きたい。

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