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ドミノ効果と優先順位

4月末に「ポポちゃん散歩」を始め、健康保険組合が主催する1ヶ月限定の「歩活」に勢いを借り、AdidasのRunninng アプリ「Runtastic」の30日プログラムに挑戦した。

"Runtastic"のプログラムはインターバルを適度に挟みながら少しずつ時間を延ばしていくもので、走る速度にさえ拘らなければ普段の運動量が高くなくてもそれなりになんとかなる。毎日40歩くらいしか歩かない日々を送ってきていてもだ。

そしてそれは既に実証済だ。だってこれまで何度も最後まで完遂できずに挫折してきたのだから。しかし、今回は他の制約条件(ポポちゃん散歩+歩活)によって、無事完遂することができた。

「ポポちゃん散歩」の効用は、毎日8,000歩を目標とする「歩活」をサボりたくなる気持ちを和らげてくれる。挫折のプロだから言える。「雨だから、「暑いから」、「夕方に」、「明日から」、やらない理由は無尽蔵なのだ。年に2回実施される「歩活」も過去の戦歴は見事に尻すぼみだ。その「歩活」の課題が「ポポちゃん散歩」の発見で乗り越えられた。

「ポポちゃん散歩」の定義は、曖昧かつシンプルだ。近所、というよりは町内を10分程度をブラブラと一周してくる散歩をいう。命名の由来は、向かいの家のポポちゃんが毎朝・毎夕、それで散歩になるのか?と思える短さで実施していることによる。

これが意外に良いのだ。まず極端に時間が短い。10分かからない。というか10分かかるほど遠くに行かない。なので、朝食前でも仕事前でも「ちょっと行ってくる」と実行できる。時間も距離も極めて短いから暑くならない。すなわち、サボる理由を考える行為(やや罪悪感を含む)よりも閾値が低いのだ。

こんな「ポポちゃん散歩」でも1,200歩くらいにはなる。だったら昼もと思う日常生活の歩数も加えれば3,000歩ほどにはなる。雨でもそこそこの雨なら足や服が濡れてしまう前に終わる。なんならサンダルでも行ける。夕方も歩こうかなという気になる閾値が3,000歩だ。

雨の日も、怠い日もそれなりに歩数が溜まると欲がでる。「歩活」の毎日8,000歩をキープしたくなる。いい加減さのドミノ効果だ。ただし、「ポポちゃん散歩」だけで8,000歩を達成するのはちょっとだけ+αが必要だ。だったら、朝食前に近所の高麗川の橋まで歩こうかという気持ちもなる。

家から高麗川の橋まで約1 km。起き抜けでぼんやりした頭も1 kmを14分程歩くとすっきりしてくる。そうだ、ついでだから高麗川に沿ってスロージョギングしちゃおうかなと魔がさす。朝だし。

スロージョギングを始めたきっかけにはもう一つ理由がある。実は、スマホを変えてバーチャルお遍路2周目のデータが飛んでしまったのだ。折角、2周目を調子よく始めたのに、そこまでのデータ(12番札所あたりまで)が消えた。ちょっと、というかかなり悔しい。再インストールして少なくとも原状復帰の場所までは取り戻したい。だからスロージョギング。

基本的に「身体に良いから」なんて理由は役に立たない。運動が好きな人、得意な人の奨めることは理屈はあっていてもそれは《その人たち》の理屈なのだ。人は欲望とともにある。ただ、その欲望のあり方はいろいろだし、わざわざナッジ理論とか持ち出す必要はない。ダメな自分との付き合いが長いのは私なのだ。とても長い時間を共にあるのだ。消えたデータ分を取り戻したい。そういう傍からみると訳の分からない欲が私にはある。それ以外のオススメは大きなお世話だ。

たとえば、ただ黙ってスロージョギングをするというのは私にはダメだ。Runtasticのようにお姉さんの機械的な声で「ワークアウトを4分の1、終了しました。あと、○○分です」と言われると、よーっしと思う。英語ならさらによい。目をつぶれば、埼玉県荒川支流の高麗川河川は、カリフォルニアのゴールデンゲート近くの公園と青い空だ。笑わば笑えだ。

普通はこのスロージョギング、雨が降ったり、ちょっと暑かったり寒かったりすると終了してしまう。自慢だが、雨・風・台風の日は会社には行かないことを若い頃から実践しているのだ。

でも今回は違った。「ポポちゃん散歩」と「歩活」と「お姉さんの声」が、私の中のハメハメハ大王一家のの心をサポートしてくれた。ありがとう、ポポちゃんたち。

そんなこんなで30日プログラムは無事終了した。30日プログラムは本来、週に3日のワークロードなので10週のプログラムなのだけれど、スロージョギングなら関係ない。だって疲労するほど頑張らないんだもの。

そして30日目の最終日。ほんのちょっとだけ頑張ったよ。普通は キロ10分を下回るペースなので、年配の散歩する人にもなかなか追いつけないのだが、今日は平均9'27"/kmだ。ちなみにたぶん普通の人のジョギングは7'00"/kmぐらいだと思う。

しかし、犠牲にしたものもある。ラウンジ・ナイトタイムに出ないようにして早起きの習慣をつけ、比較的参加率の高かった早朝読書会だ。6時前に家を出ても帰ってくると7時半近くになってしまう。そこだけが残念だった。もちろん、Zoomに音だけ参加も考えた。ただ、そうすると走っているときに聴いている音楽の音がなぜか歪んでしまうのだ。スマホのプログラムたちの競合関係がそういう結果を生んでいるのだろう。そこを突き詰める気はしなかった。人生は優先順位。なんでもできると思うことは若さの特権でしかない。

聴いている曲は、ジェームス・レヴァイン/メトロポリタン歌劇場管弦楽団による『ワーグナー:序曲・前奏曲集』。1曲が平均すれば10分程度で、トータルで5曲。スロージョギングや散歩している時間にぴったりだし、冒頭の歌劇「リエンツィ」序曲もいい。

そして6月。結構、1日40歩の日々が続く。暑かったり、雨だったりするし。まぁ、ぼちぼち。

訪問していただきありがとうございます。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。