相模の「大凧」に託すもの
【スキ御礼】歳時記を旅する37〔凧〕中*糸引けば風の重さのいかのぼり
新型コロナウィルスの影響で中止されていた相模の大凧まつりが、2023年5月4日と5日に4年ぶりに開催されました。
報道の動画がありますので、まずはご覧ください。
大凧高く舞う 子どもの成長願い相模原と座間/神奈川新聞(カナロコ) - YouTube
今年の題字は「勝風」(相模原)で、「災いに勝ち抜く頼もしい風が吹くことを祈念する」という意味が込められているそうです。(座間は「華風」)
題字はその時代の気分や人々の思いを表しています。
記録されている最古のものは明治20年の「儲と大当たり」(相模原)というもの。
それだけ聞くと、なにやらギャンブルで射幸心をあおるような滑稽さがありますが、その意味は、「養蚕の大当たり」という願いが込められているとのことです。
江戸時代から相模原地方は、当時の相模川がたびたび氾濫をを引き起こすため、農業が発展しにくい土地柄でした。
幕末に横浜港が開港になり、生糸が輸出の花形となったことによって、相模原地方では昭和初期にかけて、農家は競って養蚕、製糸に力を入れていったそうです。
そのため、相模原台地上には広大な桑畑が広がっていたそうです。
上溝地区では、明治3年に生糸・繭取引きを目的とした市場が開設されました。月6回開かれるこの市には、各地から多数の露店商が集まり、大変なにぎわいだったそうです。
明治20年の題字「儲と大当たり」というのも、当時の相模原の養蚕業の盛況ぶりが伺えるようです。
その時代の人々の思いを文字にした凧を揚げる。
それも日本一といわれる大きな凧で。
毎年揚げる、揚げなければならない気持ちが少しわかった気がします。
(岡田 耕)
*参考文献
sns絹の道-シニアネット相模原- (snsagami.org)
大凧講座 相模の大凧の題字と変遷 (sagami-oodako.com)
5地域の変貌 (sagamiharacitymuseum.jp)
写真/岡田 耕
(相模の大凧センター)
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