見出し画像

鑑賞*ふるさとの砂を吐き出す寒蜆

辻前 玲子        

このふるさとは、作者のではなく蜆のものと読みたい。

生まれ育った地から運ばれていることも知らず、持ってきた故郷の砂までも吐き出させられて食用にされる哀れさ。

「砂」は産土の「スナ」にも音が通じて郷愁を誘う。

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和二年八月号)

いいなと思ったら応援しよう!