表紙のかわいさと異国の地イタリアという題材に、ずっと気になっていたこの本をついに読んだ。イタリアと聞くとまず思い浮かぶのはピザとパスタ、あと地中海。何から何まで日本とは違いそうだけど、一体なにが違うのだろう。そのもわ〜んとした疑問にこの本は答えてくれる。そしてイタリア旅行に行く前にガイドブックとセットでこの本は読んでおきたい。私は未だイタリア旅行の計画は無いけれど、いつか訪れる(であろう)イタリア旅行に大いに役立つ本だと思う。
①イタリア人は「今、目の前に起こる出来事に100%集中」する。
イタリアの場合はほぼ100%の人が前進駐車を行う。切り返してバックで駐車しておいたほうが出るときに楽だ、という発想はないようだ。いまそこにある、駐車という問題を最も簡単で楽な形で解決する。これはある意味、目の前のことに100%集中できる能力が高いということでもある。まずいま、何よりもいまが大切なのである。
p.66「一度にふたつやろうとしない」 本来の目的を忘れて寄り道に熱中する。しばしばそこから非常に面白い経験や発想が生まれる。イタリア人は、事務遂行能力は低いが、発想とアイデアは抜群だと讃えられる。そのような卓越した思い付きは、彼らの得意技である寄り道脱線から生まれているのかもしれない。
p.95「人生における”寄り道”を大切にする」 ②イタリア人は「ダメ元でとりあえず頼んでみよう精神」がある。
このように、ダメもとの厚かましい依頼により物事が動いていく社会では、イタリア人並みに面の皮が厚くないと損をしてしまう。何はともあれトライしないことには、誰も助けてくれないからだ。だから、とりあえず目の前にいる人になんでも頼んでみようとする。それがダメなら次を探せばいいや、というわけだ。
p.67「仕事相手でも疎遠でも、"友達"と見なす」 ③イタリア人は「食事を通して人間関係を育む文化」がある。
イタリアのようなコネ社会では、友人の輪を広げないと仕事も発展しない。そして、そのためにはアペリティフは最高の機会なのである。だからよく「アペリティフに1時間半もかかるなんて信じられない」という批判を聞くが、さまざまな活動を展開するためにはそれなりの時間が必要なのである。
p.172「食事をするためだけに、食卓には行かない」 また、家族の食卓は公式の食卓でちゃんとふるまえるようにするためのトレーニングの場でもある。子どものころから、食卓は「社会的パフォーマンス」をする場であることを学ぶのである。
p.192「素の自分を見せて仲良くなる」 ④イタリア人から学ぶ「直感を育ててゆる〜く目の前のことを楽しむ」。
理想にこだわって、高望みをして、結局は人生を楽しめず、不満ばかりが溜まっていくよりは、小さなことに満足して、すこしでも人生を楽しむようにしたほうがいいに決まっている。どんな状況でもそれなりに人生を楽しむ。ある意味イタリア人はその天才である。
p.109「そんな状況でも、しぶとく愉しみを見つける」 すべてがうまく作動するということはそれ自体が目的なのではなく、それにより人が幸せになってこそ、初めて意味がある。効率、完璧なサービス自体が自己目的化して、働く人にストレスを与えたり、余裕のある人生を送れなくなってしまっては意味がない。日本人が本来持っている完璧主義への性向は素晴らしい誇りだが、もうすこし手ごろなレベルの幸せを探ってみるのも悪くないのではないかと、イタリアに行くたびに思う。
p.237「おわりに」 読んで納得したのは「Emily in Paris」シーズン4から登場するイタリア人「マルチェロ」がこの本通りのイタリア人だったこと。マンマ(母親)が登場し誰よりもマンマの意見を尊重するところや家業を継いでいて、町全体に従業員がおり食事を大人数でとるところなど。(あとマルチェロかっこ良すぎるので、個人的にはもうガブリエルとよりを戻さずそのままローマで幸せに暮らせばいいと思ってる。)
日本と同様、各地方によっても特徴が微妙に違くて、でもとにかく「イタリア人てざっくりこんな感じ」が分かる面白い本だった。いつかイタリアへワイナリー見学に行ってみたい。
エミリー!ローマでマルチェロと幸せに過ごして〜!