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『下妻物語』公開20周年記念! ジャスコも復活したロリータの聖地へ巡礼してきた!

タイムリープできるなら、ロリータファッションに出会った頃に戻りたい。
幾度となくそう思ってきました。
もっと思いっきり好きな服を着て、自分がかわいいと思える自分になって、躊躇うことなく人と触れ合って、カルチャーを享受したい。

2024年5月25日と26日は、そんな願いが叶ったような2日間でした。

というのも、『下妻物語』公開20周年を記念して、その舞台である茨城県下妻市でロリータファッションに関する大規模イベントが行われたのです。
しかも、「イオンモール下妻」が2日間限定で「ジャスコ」に戻るとか……⁉︎

これは絶対に目撃しなければならない!と使命感にかられ、東京から3時間ほどかけて、いざ下妻へ……!
常総線・下妻駅、初めて降り立ったのにずっと昔から知っているこの感じ。
映画『下妻物語』で桃子の自己紹介VTRが流れるシーンや、イチゴが桃子に特攻服を託すシーンなどで使われた場所だ……!

ここから普通ならバスでイオンモール下妻(以下、ジャスコ下妻)まで向かうのですが、1時間に1本ほどのバスを逃してしまったので、せっかくなら桃子の気持ちを味わおうと、徒歩で行くことにしました。

駅から出て歩き始めた途端、心なしか、タイヤの匂いが漂ってくる気がする。地元福岡に降り立った途端、豚骨ラーメンの匂いがするみたいな感じで、これが下妻の匂いなのか。

山のふもとに見えるのが下妻ジャスコ。
たくましい稲が美しく見えました。

風が強くて日傘も意味をなさず、ひとりロリータ服でひたすら歩くと我ながら完全に浮いているのがわかる。
国道を歩くこと30分ちょっと。ピンク色の看板が見えてきました。
これは……幻……?

2日間限定でイオンの看板もジャスコになってる!

ついにここまで辿り着いたんだという感慨と、長旅の疲労でハイになったまま、急いで館内へ。
「JUSCO」の文字が至る所に踊り、館内放送でも「ジャスコ下妻」と流れていて、目頭が熱くなります。
ジャスコって、どこの地方でも外観や館内が似ているので、初めて来た店舗でも既視感がある。子どもの頃祖父母に連れてきてもらった地元のジャスコの思い出とオーバーラップして、懐かしさがこみあげてきました。

そういえば、ジャスコのピンク色って、『下妻物語』のヴィジュアルデザインで使われたピンク色と親和性高いですね。

よみがえった下妻ジャスコでは、『下妻物語』公開20周年にちなみ、参加型のロリータファッションショー、原作者である嶽本野ばらさんのサイン会、ロリータ体験などが催されていました。

そして今回のイベントの目玉のひとつともいえるのが、『下妻物語』で実際に使われたバイクの展示!
まさかこんな触れられそうなくらい間近で見られるとは思っておらず、現実だと認識するのに時間がかかりました。

こちらのバイク、以前私が嶽本野ばらさんに直接聞いた記憶が正しければ、『下妻物語』撮影時にHONDAに問い合わせたものの「DJ・1 R VIVAYOU EDITION」は本物が残っていなかったので、映画のために美術さんがペイントして作ったのだそう。
「東宝の倉庫に眠ってる」と野ばらさんはおっしゃっていましたが、眠ったままなんてもったいない!と思っていて、「嶽本野ばら文学館を作って展示してほしいです!」とか言っていたので、こうして20周年というタイミングで生で見る機会ができて感無量でした。

ロリータさんで溢れたジャスコは、期待した以上の大盛況。
ロリータ体験コーナーでは、小さいお子様もロリータデビューしたい女性もとっても嬉しそう。

 下妻のヤマグチ家具の協力によるフォトスポット。
未来屋書店で展開された、嶽本野ばらと関連書籍のフェア。

私が行ったのは5月25日でしたが、26日には原作者の嶽本野ばらさん×イチゴ役だった土屋アンナさんのトークショーも行われ、まさにイチゴが大人になって帰ってきたような時間になったようです。

『下妻物語』公開日は、2004年5月29日。
私にとっても、蒸し暑い季節にキャナルシティ博多の映画館に行った中2のあの日から、ちょうど20年。

あの頃は、 ロリータを一緒に楽しめる友達はいなかったけど、今はこうして好きなお洋服を着て集い、語り合える「ダチ」がいる。嶽本野ばらさんも一緒に。
時間を巻き戻すことはできないけど、この20年、正直に生きてきてよかったな。

『下妻物語』のエンドロールでは「タイムマシンにおねがい」が流れるけれど、まさにあの歌のように、スイッチを遠い昔に廻せばジャスコだって復活するのですね。
やっぱり、ロリータの「好きな時代に行ける」パワーってすごい。

ロリータは当事者が胸に大事に秘めることが多いあまり、広くは拡散しづらいカルチャーでしたが、時代が少しずつ変わり、ファッションのディテールや精神面にリスペクトを払いながらも多くの人に伝えていくというムーブメントができてきているような気がしました。

あの頃の私たちが嶽本野ばらさんの作品や『下妻物語』、インターネットや雑誌などでロリータファッションに出逢ったように、私たちが歩いた先に、新しくロリータファッションに出逢う人たちがきっといっぱいいる。

「負ける気がしねぇ」と、誰にともなく呟きながら、下妻をあとにしたのでした。

(大石蘭)

イベント詳細


*動画もぜひあわせてご覧ください!▼


*今回の下妻ジャスコ化計画のアドバイザーを務めた瑠璃さんのブログ記事です。▼


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大石蘭
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