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春のパン祭りとメタ推理

残念ながら今年の立春、愛媛県は雨模様になった。

もちろん予報されていたから問題はないのだが、土日を運動に充ててる手前、少し暇なのも事実だ。

せっかくなのでメタ推理ゲームをしてみたい。

メタ推理とは、ざっくり言うと本編を見ずに、起こっている周りの状況から本質を推理してみようと言う事だ。

山崎パンを知らない人は居ないだろう。今や日本三大祭りと言われる「春のパン祭り」は有名だ。

そして山崎パンと言えば、被災地にいち早く駆けつけて支援すると言う崇高な理念と行動力でも有名な会社だ。

とても暇だった私は山崎パンのIR情報にアクセスして財務などを確認してみた。

2022年度の総売上は1兆770億円。連結なので食料品だけではないが、凄まじい額だ。ちなみに不二家や東ハトはこの連結に含まれる。

東日本大震災の時は発生から約8ヶ月間支援し続けており、パンとおむすびを計2,300万個被災地へ届けている。

売上原価から計算すると原価率は約65%。これは想像よりかなり高かった。

パンやおむすびの定価をざっくり110円だとすると東日本大震災で山崎パンは(原価ベースで)15億円ほど支援していることになる。配送などの人件費や燃料費など含めると20億に届くだろう。

それに対して大きな災害が無い通常の年(2022年)で広告宣伝費は117億円。かなりの額だ。

ここで考えてみたい。

15億円ほど支援した山崎パンは損をしたのか?

答えは完全にNOだ。

もちろん支援なので特別損失となり控除されるだろうが、それは置いておくとして。

惚れるよな
誰だって好きになる

テレビCMや各種媒体に117億円使う事より、15億円捻出して支援することによる広告効果は何十倍も高い。

加えて企業のブランディング効果もとんでもなく発揮されたはずだ。

「山崎パンはどこよりも迅速に、且つ継続的に被災地を支援する企業」という圧倒的なプラスのイメージを纏ったのだ。

もちろん言っておくが、打算ありきの行動では無いはずだ。ただ結果として圧倒的な広告効果と企業イメージ戦略となったのは間違いない。

顧客にとっても必ず以下の真理は働く。

店舗に行き山崎パンの沢山のパンを見る。思考の片隅には企業イメージが必ず現れる。特に今のような時期なら尚更だ。

山崎パンを買う事で、自分も被災地を支援するような気持ちが生まれるはずだ。少なくとも私はそう感じた。

買ったし。
我慢した。
相当悩んで我慢した。
これは我慢できんかった。
歯軋りして耐えた
ぐううう…辛すぎる…

普段菓子パンを買わない私でさえ2個も買ったのだ。

そして自身に言い聞かせる。

「こ、これは支援なんだからね!」と。

パン=肥満の原因と言われる不利なイメージに対して「被災地支援」という免罪符さえ与えているのだ。

しかもパン祭り開催中。

誰だって買ってしまう。買わざるを得ないのだ。

そして本質として

山崎パンも被災地の皆さんも、関わる全ての人にメリットが生まれていると言う事実。


唸るしか無い。企業の鑑だ。いっそ日本の与党を山崎パン党にしたらどうだ?とさえ思う。

皆さん、明日は山崎パンを買って「なるほどなぁ」と想いを馳せてみて欲しい。

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