さあ、パーティーの始まりだ!!〜伝書鳩パーティ#毎週ショートショートnote
今回はどの鳩舎が優勝するのか。
国一番の伝書鳩を有するのはどこの鳩舎か。
手塩にかけて育ててきた精鋭の鳩達が大空に飛び立ち、遠ざかっていく姿を見えなくなるまで人々は仰いでいた。
優勝するのはうちの鳩舎の鳩だ。
名誉も金も全て手に入れてやる。
シャンパンや甘いケーキ、オードブルにサラダ、白いテーブルクロスはしわひとつない。
鳩はモーニング姿で歩き、あちらこちらで談笑をしていた。
いやあ、参ったよ。
うちなんて狭苦しい鳩舎に何十羽も入れて、餌といえば古い麦さ。
それはひどいな。
うちのもそうさ。1000キロ先を目指すなんて今どき無いだろう?
あいつは自分の名誉のために我々の仲間を何百羽も何千羽も無駄死にさせたんだ。
いや、許せんな。
しかし愉快だな。
我々がこんなふうにパーティーを開いてるとはよもや思うまい。
今頃、欲にまみれた奴らは戻らない我らを首を長くして待っている筈だ。
クックっと肩を揺らし、赤い目をくるりと回して笑った。