会うっていいな
便利な世の中だからSNSで繋がることは容易だ。遠く離れていても顔を見て話せるなんて大仰なテレビ電話くらいだと思っていたが、それすらも珍しくなくなった。
ただまったいらな画面の中に居る人には手を伸ばしても触れられない。
体温も身体の厚みも感じられない。
確かにそこに居るのに。
会いたいね。
会おうか。
神社巡りしようか。
いいねえ。
こんなざっくりしたLINEのやり取りであっさりと決まった初顔合わせ。
そして10何年ぶりに降り立った駅。
改札を抜けて、LINEしようとした時にオラヴちゃんと声をかけられた。
目の前にマキちゃんが立っていた。
会えてよかった、迷子になるかと思った。
田舎の中学生が初めて都会に出てきた感じの喜びよう。
不思議と初対面の感じがなかった。
お互いの顔をあらかじめ見知っていたからかもしれない。
歩き出してからちょっとしてマキちゃんが立ち止まり、あ、初めましてと頭を下げたので、わたしも慌ててこちらこそとお互いぺこぺこお辞儀をし合った。
行き先は明治神宮だ。
駅改札を抜けてほんの数分も歩けば、巨大な鳥居が待ち構えている。
二人しておもむろに深々と拝礼してくぐると、そこは空気がかわり都会のざわめきがぴたりと遮断される。
参道も広い。
両側の樹々の枝が揺れ、見事な幹を見せている。
ここはどこかの山中かと思わせるほどの植物の生きたヒーリングの氣が漂う。
日本酒の酒樽。
パワースポットのひとつ。
ということでマキちゃんと一枚。
相変わらずどこを見ているのかわからない。
なんか似てる(笑)
さて、神社だけではなくその敷地には明治神宮御苑なるものがある。
明治天皇・昭憲皇太后にゆかりのある名苑だそう。
五百円を払い、またまただだっ広いお庭、というより山の中を散策している気分で歩く。
疲れたので東屋で休憩しての一枚。
ここが原宿と渋谷の間にあるとは。
ほとんど里山にしか見えない。
まるでまんが日本昔ばなしの中にタイムスリップしたかのようだ。
マキちゃんは気づくとパシャパシャと名カメラマンぶりを発揮していたが、わたしはこれしか撮っていない。
そしてパワースポット第二弾。
そう、あの有名な場所である。
清正井(きよまさのいど)
ここを撮って待ち受けにするとラッキーなことがおこるといわれているが、実はそれは誤りらしい。
ビビリなのでここは撮影しなかった。
実際に見ると、聞いていたようなおどろおどろしい怖い印象は全くない。
ちんまりと佇んでいる、コンコンと湧き出る水の井戸である。
パンフレットから抜粋。
想像してたんと違う。
さて、御苑散策を終えて大鳥居をくぐっていよいよ御社殿へ。
これまたとてつもないパワーをみなぎらせてそびえ立つ鳥居。
ここで一礼し、進んでいく。
そしてさらに鳥居。どれだけ魔から守ってるのか。
すごいぞ。
奥からもすごいオーラが漂ってくる。
参拝したあと、すぐ傍にある夫婦樫の木をパチリ。
仲良く並んでお互いを支え合っている感じで穏やかな空気が流れている。
そして恒例のおみくじ。
それがこちら。
昭憲皇太后御歌がおみくじになっている。
大御心が大事ということだ。
肝に銘じることにする。
そして偶然にも婚礼の為に静々と歩いて社殿に向かう人々に遭遇。
厳かでありながらも、美しく素晴らしい光景に感動。
佳き日に立ち会えてしあわせを頂いたことに感謝した。
おめでとうございます。
そしてありがとうございます。
かなり歩き回ったので、お腹が空いてぐーぐーと腹の虫が鳴き止まず。
CAFE 杜のテラスへ。
ケーキとサンドウィッチと豆乳コーヒー。
ガツガツといきたいところだが、上品に頂いた。実に美味!!!!!!!!
マキちゃんは控えめにサンドウィッチとコーヒーだけ。
まだ透明のアクリル板越しだ。
いろんな話をした。
マキちゃんは控えめな人柄と同じく話し方も控えめで穏やかだ。
わたしがわーっと話すのをうんうんと聞いてくれる。マキちゃんの話し方は森山良子さんのようだ。
ざわわ、ざわわ、ざわわ。
サトウキビ畑の風が吹いてくるようだ。
いつまでも聞いていられるくらいだ。
だかしかし。
座って帰りたい。
積もる話はあれど、その欲求には二人とも抗えず。
早めに解散となった。
そうそう、マキちゃんからはあの!!!
素敵なイラストのカードのサプライズプレゼントがあった。
お礼といってはなんだが、わたしも持参したタロットカードでテーブルに3枚引きをさせて頂いた。
わーいと喜んでくれたマキちゃんが子どものようで可愛かった。
そしていろいろ話した。
マキちゃんの話を聞いた中で印象的な言葉はたくさんあった。
今までね、なにも考えずに流されてきたのよ。
ひとの好き嫌いも特にない。
嘘つかなければいい。
好きなタイプもない。
成功ってなんだろうと考えるの。
お金稼ぎたいとか、有名になりたいとか。
そういうの、ないから。
穏やかに時が過ぎればいいと思ってる。
成功とかしたいとかないの。
てっぺんに行ったらあとは下るだけだもん。
わたしはお金を稼ぎたい。
だって今まで人におんぶに抱っこだったから。
死ぬまで走り続ける星のもとに生まれたらしいし、娘のこともあるから働き続けるかな。
そう言うと、また森山良子のような優しい声でうんうん、と頷いてくれた。
じゃあまたね。
楽しかったー、また今度神社巡りをしようね。
わたしたちは別れ際、控えめなハイタッチをした。
やっぱり会うっていいな。
掌を合わせてお互いの体温を感じられるのはやはりいい。
ひとつぽつんと空いていた席に座り、マキちゃんにLINEを打ち始めた。
座れた?
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