会えない夜に〜メガネ朝帰り #毎週ショートショートnote
今頃きっと心配してるだろうな。
どんなに遅くなっても帰っていたのに。
あなた以外、他には考えられないから。
毎晩言っているけれど、あなたは黙ったまま静かにわたしを守るようにそっと全身を覆うだけ。
ドキドキするけど、あなたは平気みたい。
優しくされてしあわせなのに、時々少し乱暴に扱われてみたいなんて我儘よね。
今夜は違う部屋。
あなたのいない部屋。
わたしは手足をバラバラにされた気分。
冷たい床の上に捨てられてるの。
放り投げられることがこんなに悲しいなんて思わなかった。
あなたの中で眠る夜はどんなに温かいものだったのか。
カーテンから漏れる光は夜明けを知らせている。
早く帰らなくちゃ。
急いで帰らなくちゃ。
会えなかった一晩で本当の居場所はあなただってわかった。
わたしを安心して眠らせてくれる場所。
待っていて、メガネケース君。
彼女が起きたら、始発電車であなたの待つ家に帰るから。
そしたら、おかえりってわたしをギュッてして。