このどこまでも美しい世界
小さな頃から漠然と思っていたことはふたつ。漫画家になりたいということと、本を書くひとになりたい、だった。
漫画家は背景やひとの後ろ姿や横向きの顔、体も描かなくてはならないことを考えると無理だと思い、諦めた。
わたしは飽きっぽいのでひとつの物語をずーっと終わりまで書き続けることはできないだろうと思い、作家になることはこれも諦めた。
絵が描けて文章も書くことができる。
そのふたつは両立するだろうと思っている。
口で説明するよりも描いた方が早く理解してもらえることもあるだろうし、絵を見せても細かいニュアンスが伝わらない時には言葉を重ねていくうちにすとんと腹に落ちるということもあるだろう。
AOIROさんはそれができる稀有なひとだ。
紆余曲折あって、異国へ絵の修行(とわたしは捉えている)をした時の物語は濃厚でありながら軽やかで、ぴたっと張りつくような完璧な言葉でその時の空気感を伝えてきた。
まるでわたしがその場にいて、絵筆をとりデッサンをして、ジェダイ=師と話したり、ご飯を食べたり、師の妻(夫妻と呼ばないところがいい)と他愛のない冗談を言い合ったりする日々を過ごしたのかと錯覚すら覚える。
絵を描く人は細かいところまでよく観察する。
だからだろうか。
書かれる文章も緻密で精巧に組み立てられ、どんな絵が描き上がるのかわくわくしながら見つめるように読ませるのだ。
決して対象に近すぎず、薄い膜一枚隔てているようだ。でもぼやけることはない。
どこまでも細部まで粒子レベルで対象に迫りながら、内心パズルを解く子供のように面白がりながら描く人であり、書く人なのだ。
AOIROさんはブルーのひとだ。
よくブルーを使っていらっしゃる。
わたしはグリーンが好きだ。
昔はブルーだったが、なぜかグリーンに寝返った。
ブルーは遠い気がする。
海も底は深い。潜るのにも限界があり、そしてそこは暗い。
空も遠い。手を伸ばしても届いたように感じるのは心だけだ。もっと行けば宇宙だ。
そこもまた暗い闇だ。
AOIROさんはわたしにとってそんなひと。
でも描かれた絵や文章は地に根付いて、芽を出し、茎がやがて太い幹になり枝を伸ばし、花を咲かせ、美しいグリーンの地球になり、わたしへ錨を下ろすようにいくつも届けられるので寂しくはないのだ。
こちらもぜひ!!
AOIROさんが書いてくださった素敵な物語💖
ありがとうございます😊✨✨