
贈り物。ことば に ついて……
わたしね。
言葉ってことば、よくわからないんだ。
ちいさい頃からね。
言いたいことが、ぜんぜん伝わらなくて。
みんなの会話に、ついていけないから。
みんなの後をついて、とりあえずぼんやりしておいた。
耳がね、みんなの早口な会話を拾ってくれないんだよ。
口がね、スラスラ動いてくれないんだよ。
気持ちがね、ピッタリ合う言葉と出会ってくれないんだよ。
だからね、黙ってね、ぼんやりしてた。
なにか言われたら、笑ってごまかせば、みんな許してくれたから。
みんな優しいね。
国語の時間に、言葉についてを習ったんだけどね。
抽象的過ぎてね、余計に訳が分からなかったんだよ。
けっこう、劣等生だったんだよね。
そうだなあ。今なら。
ことばって、箱かなぁ。
って、思うかなぁ。
なにか表したい事柄を入れた箱。
花、空、葉っぱ。
心、気持ち、涙。
笑い声、あったかい、マフラー。
それぞれが、それぞれの形をした箱でね。
だれかからだれかに、届けるものだと思うんだ。
箱に色を塗って。
箱にリボンをかけて。
箱に香りをつけて。
渡すんだけどね。
人によって、その箱も、さまざまに見えるみたい。
赤く塗ったのに、暗くなったよ、空の箱。
優しい香りが、キツイねって言われた、花の箱。
レースのリボンは、変だねって笑われちゃった、気持ちの箱。
それからね。
大きな箱にはね、入るものも多いんだよ。
すごいねの箱。いいねの箱。やばいの箱。すきの箱。ステキの箱。
ほらね。
ステキでしょ?(笑)
小さな箱も、細長い箱も、なんだかクニャクニャしている箱も。
地球の箱、鉛筆の箱、恋心の箱。
それぞれが、なにか大切な事柄を入れるための、大切なひとつひとつのことばの箱。
じゃあ、今度は。
箱の受け取り方について、名言風に言ってみようか。
三流な私は、箱を見てる。
言葉ソノママを見てる、私の色メガネでね。
二流な私は、中身を視てる。
言葉の本当の意味を、考えてるんだ。
一流な私は、贈ってくれたひとの思いを観てる。
ことばを届けてくれて、ありがとうねって。
超一流な……、それは知らないなぁ。
ね。きみは知ってますか?
ことばの箱でつみきをしよう。
小さな箱のつみきでね、なにか感動をつくれるのがね、詩、だと思うんだ。
きみの詩もさ。
とってもステキだね。
ありがとう。
企画じゃないよ。
贈り物だよ。
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