オハラのガラスで世界の天文・宇宙開発分野に貢献したい
2024年6月、国際光工学会(通称SPIE)が実施する大規模な学会イベント「SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation」(以下「SPIE+Astro」)が横浜で開催されました。SPIEは光学と天文学に関する国際的な学会で、天文・望遠鏡関係の知識の交換・収集・普及を目的としており、天文学者や天体望遠鏡の建設に関わる専門家が所属しています。
アジア初の開催となる「SPIE+Astro」において、オハラはスポンサーとしてイベントに貢献するとともに、展示会にも出展し製品を紹介しました。今回は、「SPIE+Astro」のスポンサーシップ・出展を担当した海外営業課のみなさんに、スポンサーシップの背景やイベント当日の様子をインタビューしました。
【プロフィール】
特殊品事業部 特殊品営業部 海外営業課 課長
鈴木嘉維人さん
特殊品事業部 特殊品営業部 海外営業課
内田可奈子さん
特殊品事業部 特殊品営業部 海外営業課
ムハンマド ザリフさん
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――本日はお時間をいただきありがとうございます。それでは最初に、みなさんが所属する海外営業課の仕事内容を教えてください。
鈴木さん
私たち海外営業課は、オハラの海外グループ会社の販売支援を行っています。オハラのグループ会社は欧米とアジアのあわせて5か国9拠点があり、全ての海外拠点のサポートを海外営業課で担当しています。業務内容はマーケティング、製品に関する問い合わせ対応、見積作成から納品の手配まで多岐にわたります。国や製品ごとに担当を固定化せずに仕事を割り振っていることが課の特徴です。線引きをせずに幅広く対応することで様々な経験を積んでもらい、海外販売支援のエキスパートとして活躍することを目指しています。
内田さん
海外には多種多様なニーズがあり、オハラ社の全製品に関する問い合わせが入ります。例えば、天文関係の仕事の場合は、まず膨大な仕様書が届くので翻訳しながら読み解き、正確に社内展開する必要があります。チャレンジングな仕様も多く、英語でコミュニケーションをとりながらお客様の要望に応える難しさがありますが、ガラスを通じて宇宙の新しい発見に寄与できると思うととてもやりがいを感じますね。
ザリフさん
私も含め、マレーシアや中国出身の社員も在籍しています。メンバー全員が仕事に対してひたむきで、様々な地域の案件にかかわっています。私は海外の展示会の情報収集もしているのですが、各国から情報が入ってくるのは大変勉強になりますし、ある国で取り組んだ施策を別の地域に活かすこともできます。
――メンバー全員がオールラウンダーとして、様々なグローバル案件に関わっているんですね。それでは早速、SPIEについてお聞きできればと思います。今回の「SPIE+Astro」は横浜で実施、アジア初開催となります。日本で実施する意義をどのように捉えていますか?
鈴木さん
日本は天体望遠鏡や宇宙探査でトップレベルの実績を有しています。例えばすばる望遠鏡は数々の偉大な発見をしていますし、今後完成予定のTMT(Thirty Meter Telescope :30メートル望遠鏡)における日本の貢献度も高く、注目が集まっています。日本の宇宙技術を世界に向けて発信する機会として、横浜で「SPIE+ Astro」が開催されたことは大変意義があることだと捉えています。
――今回の「SPIE+ Astro」はオハラがスポンサーを務めていますね。
鈴木さん
もともと、SPIEとは2000年代初頭から関係があり、2013年にTMTの主鏡となる素材を提供することが決まってからはその実績が評価され、毎年実施される学会に海外グループ会社が出展していました。世界三大望遠鏡がE-ELT(欧州超大型望遠鏡)、GMT(巨大マゼラン望遠鏡)、TMTと言われていますが、そのうちGMTとTMTの主鏡素材をオハラが供給しています。天文関係の学会である「SPIE+ Astro」に参加し、かつアジア初の学会をスポンサーとして盛り上げていくことは、当社の責務であるとも感じています。
ザリフさん
私としては、スポンサーシップを通して、世界の権威ある学者・有識者にオハラのことをもっと伝えたいという想いがありました。過去の実績から天文学会でオハラを知っている人は増えていますが、その立ち位置を確固たるものにしたい。そして、一緒に天文学会を盛り上げていきたい、と。
ザリフさん
そのような気持ちもあって、今回の展示会では来場者バッジのネックストラップにオハラのロゴを入れて配布しました。来場受付をして最初に受け取るのが、来場バッジとネックストラップ。会期中、肌身離さずつけるこのネックストラップにオハラのロゴを入れることで、より身近に感じていただきたいなと思っていました。
内田さん
スポンサーになることが決まったとき、私は軽い気持ちで考えていたところも正直あって。でも、会場内のみなさんがオハラのストラップをつけていて、そのとき改めて「すごいことなんだな」と実感しました。
ザリフさん
本当に多くの方に身に着けていただいて嬉しかったですね。宇宙や天文をイメージしたデザインや色味を実現するのはとても大変でしたが、おかげさまで来場者のみなさんにも好評で、1日目には用意していた分の配布がすべて終了してしまったんです。
――私も「SPIE+ Astro」に取材にお伺いしましたが、確かにオハラのストラップをつけている方がほとんどで、率直に「すごい!」と思いました。実際の出展当日の様子や手ごたえはいかがでしたでしょうか?
鈴木さん
会場に到着して最初に思ったことは「外国みたい」ということでした。世界中から天文学の第一人者が集まる場なので、そもそも海外の方が多いだろうとは思っていましたが、パシフィコ横浜の会場に足を踏み入れた途端、海外の展示会の雰囲気があって。ここは本当に日本かと疑問に思うくらいでした。
内田さん
会場の人とコミュニケーションするときは、とりあえず英語で話しかけてましたね(笑)。あと、天文学分野でオハラのことを知っている人が、世界中にいるということを実感しました。初めてお会いする方なのに、「望遠鏡のガラスといえばオハラ製だよね?」といって製品名をスラスラ言ってくれる人さえいました。この業界でのオハラの存在感を改めて感じましたね。
鈴木さん
実際に展示会の場では、世界的に権威のある機関からの問い合わせもあれば、これまで接点のなかった国――例えばカザフスタンなどからも問い合わせをいただきました。それに、様々な国の天文学の第一人者の方とお話ができて、純粋に楽しめましたね。
鈴木さん
また、今回はアメリカのグループ会社と協力して来場者対応をしていたのですが、日本にはないコミュニケーションの取り方を学んだ気がします。例えば、日本のキャラクターのイラストを用いて交流するとか。
内田さん
新しい体験でしたよね。海外のやり方を学んで自分たちの価値観も更新された気がします。日本と海外の良いところを融合させて、より良いコミュニケーションの在り方を考えていきたいと思いました。
ザリフさん
いい意味で「型にはまらない」というのは大切ですよね。私も普段から壁をつくらないようなコミュニケーションを意識しています。緊張感が和らいで初めてお互いの気持ちが伝えられることもありますよね。
――確かに、様々な文化や考え方をふまえて、より良いコミュニケーションにつながれば素敵ですね。それでは、最後に今後の展望や目標について教えてください。
鈴木さん
天文・宇宙開発関連の市場では、今後もオハラの素材が間違いなく貢献していくと思っています。海外営業課には各海外拠点からの情報が集まってきていて、どこに新しい需要があるのか、チャンスがあるのかを分析・把握し、海外グループ会社に展開しています。このようなサポートを通して、オハラ製品が世界で活躍するフィールドを更に広げていきたいと思っています。そして、天文学会や宇宙開発を盛り上げていきたいですね。
ザリフさん
私も、オハラ製品がまだまだ認知されていない場所に拡販できるよう尽力したいと思います。そのために市場調査を進めていきたいですし、私自身もっと勉強をしなければいけないと感じています。それに、世界の様々な人と壁のない対話ができるよう、コミュニケーション力も磨いていきたいですね。
内田さん
私は大学で天文学を勉強していましたが、研究者の道以外でも天文分野の仕事ができるということを、オハラの仕事を通して若い世代に知ってもらいたいと思っています。また、働く母としては、仕事とプライベートの両立の道を模索中です。「自分の好きな仕事も母親としての仕事も両立できる会社がある!」と、オハラの認知度を高める存在になれたら嬉しいです。