「現実」に戻って来られないかもしれない
ドアと窓がない狭い部屋で、父親に殴られた。左頬がジンジンする。彼は部屋の隅で変な液体の調合をしている。良いものではない、と直感した。父に物を投げつけて抵抗しながらも、出口はどこかにあるはずと視線をさまよわせる。
「ここから出して!」
「アカン。もっとお前を苦しめたる。」
いつもなら大声をあげて暴れる父なのに、その声には何の感情もない。壁を叩いて外に向かって助けを呼ぶ。いつの間にか背後にいた父が、私の腕を乱暴に掴む。彼の右手には、炭酸のようにシュワシュワする液体の入ったビン。
「いや!」
父の手をふりほどこうとして、目が覚める。夢と現実の私の声が重なっていた。
ベッドから飛び起きる。心臓がバクバクする。走った後みたいに息があがる。手の震えが止まらない。
何…あれ。
言葉にできない恐怖感、ジメッとした部屋の空気、全部が本物みたいだった。頬に触れてみる。痛みはない。見慣れた天井と寝室。隣には旦那さんがいる。
大丈夫、こっちが現実。ここは安全。
もう一度眠りに入ろうとするけれど、怖い。目を閉じれば父の手の感覚を思い出す。旦那さんは背中をさすってくれて、手を握ってくれる。そうしてやっと、眠ることができる。
夢の中での体験がリアルだと、「現実」の世界に戻って来られない感覚がする。声をあげなかったら、あのまま夢の世界に留まるんじゃないかと思う。夢の世界って、もっと楽しいものじゃないの?留まるとしたら、スイーツをいくら食べても太らない夢がいいな…って、そういう話じゃない。
こうしてnoteを書いているのが「現実」と思っているけれど、実はこれが夢なんじゃないか。それか、別の世界に住んでいる私の恐ろしい体験を夢で見ている?次に目が覚めたら、そのMaiと入れ替わってたらどうしよう。そう思うと眠れなくなって、何かをしていないと夢の感覚から抜け出せない。
1年、もしくは半年に1回は悪夢を見る。ひどい時は、起きる前から泣いている。2ヶ月前にもこんな事になった。悪夢を見るのは大体が寝苦しい日だったり、体調が悪い時だったりする。今日見た夢は、何か原因があったかな?
ネットで調べるとレム睡眠行動障害、悪夢障害とかがあるらしい。あとはトラウマ。障害については今のところ、寝ている旦那さんに危害を加えてないから大丈夫そう。トラウマはあるかもしれないけど、辛い思い出に浸る出来事もない。あ。でも、毒親に関するツイートを見て憤った記憶がある。もしかしたらそれのせい?
今日は良い夢…少なくとも、うなされないといいな。