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評価会議は誰がどこまでやるべきか?

人事の皆さんの仕事で、重い仕事の一つが評価会議。

評価シーズンになると、
「人事がここまでやらないとダメ?現場でやってほしいよー...」と泣き言も言いたくなるもの。

ただ、人事評価は決める側にも受ける側にも、納得感があり、公平なプロセスであることが重要です。

評価会議が単なる「点数調整の場」になったり、議論が発散して決めきれなくなったりしないためにも、「誰が」「どこまで」関与するのかを今一度見てみましょう。


評価の仕組みには正解はない。その組織における最善解を見つけるしかない。


まず最初に申し上げると、残念ながら「誰が」「どこまで」という論点に対して、唯一絶対の正解はないというのが私の考えです。

というのも、どんなに工夫しても、すべての人が100%納得する評価プロセスを作ることは不可能だからです。

業界や組織文化、メンバーの関係性によって、最適なやり方は変わります。これからしばしば採用される評価の仕組みをご紹介しますが、あくまでも一つの考え方として参考にし、自社なりのやり方を模索いただくと良いと思います(冒頭から歯切れの悪い内容ですみません)。

ただ、一つ確かなものがあるなら、それは「何が正しいか」ではなく、「この組織において最善の方法は何か」を常に模索し続ける姿勢だと考えます。

常に変化し続ける組織において、そもそも評価の仕組みが変わらないというのは、少しおかしな側面もあると思います。

ですので、評価の仕組みは変わる、という前提で向き合い続けることが大事ではないしょうか。

その前提で中身をみていきましょう。


評価には「誰が」関わるべきか?


まず、評価に関与するメンバーを整理してみましょう。

一次評価者は直属の上司が担うことが大半でしょう。なぜなら、最も日常の業務を見ているためです。

一次評価者は、評価のベースを作る役割を担うことが多く、日々の成果や行動をもとに、具体的な評価をまとめるのが主な仕事です。

ただし、ここでの評価が独りよがりにならないよう、他の視点を加えることが大切です。

二次評価者は部門長や上級職のマネージャーが担うケースがしばしば。チーム間のバラつきを調整する役割を果たします。

同じ基準で公平に評価できているか、極端な評価がないかをチェックし、必要に応じて修正を行います。チーム単位の評価がバラつくと、組織全体の納得感が損なわれるため、この段階の調整はとても重要です。

では、人事部門はどう関わるべきでしょうか。

人事部門は、評価制度全体の運用を監督し、評価の公平性や一貫性を担保する立場です。特定の個人の評価を決めるわけではなく、プロセスが適切に機能しているか、報酬や昇格の基準と整合性が取れているかを確認します。

もし加えて、ピアレビューを取り入れている場合は、同僚の意見も評価の一部に反映されることがあります。ただし、ピアレビューは慎重に運用しないと「仲が良い人同士で甘くなる」「逆に厳しく評価しすぎる」といった問題が発生するため、あくまで参考情報の一つとして活用するのが良いでしょう。


評価には「どこまで」関与すべきか?


評価プロセスにおいて、「どこまで」関与すべきか?という問いは、評価者だけでなく、評価を受ける側にとっても重要なテーマです。

というのも、関与の度合いが強すぎると評価が恣意的になりかねませんし、逆に関与が薄すぎると形骸化してしまうためです。

先ほど申し上げた「誰が」という立場によって関与度合いが異なりますが、論点になり得るのは次の3つだと考えます。


論点① どこまで評価の基準を擦り合わせるか?

評価者同士はその基準を擦り合わせることが大事ですが、対象が多いと、その擦り合わせだけでもひと苦労です。

そのため、まずが評価者がどこの範囲(階層や職種など)まで見るのかを決めた上で、評価の基準やプロセスを明確にし、関係者全員が共通認識を持つことが重要です。

このリードは、人事部門が担うべき重要なミッションだと考えます。


論点② 評価プロセスにどこまで積極的に関与すべきか?

評価者は、単に結果をつけるのではなく、日々の観察やフィードバックを通じて、適切な評価を行う準備をする必要があります。

ただ、一次評価はともかく、二次評価者やサブ評価者がどこまで入り込むかは悩ましいものです。

ポイントは、評価者同士で、関与すべきか範囲を事前に決めておくことが大事です。「○○さんは、将来のリーダーだからしっかりみよう」「○○さんは、ベテランで安定感があるので、一次評価者を中心に任せよう」など、関与度合いを決めておくのが大事です。


論点③ どこまでフィードバックを丁寧に行うべきか?

評価はゴールではなく、成長のためのプロセスの一部です。

そのため、評価を受けた側が次のアクションにつなげられるよう、フィードバックを丁寧に行うことが求められます。

ここは一次評価者がメインで行うことが多いのですが、場合によっては、二次評価者などと分担しながら行うことも重要です。

これは、「このフィードバックは誰から言われた方がより響くか?」という視点で考えるのがポイントだと考えます。

評価の結果だけでなく、その背景や改善点を、適切な話し手から伝えることで、より建設的な評価の場になります。


どこまで関与すべきか?という問いもまた、何か唯一絶対の正解はありません。

ただ、確かなものがあるとすると、評価の目的に照らして考えるという姿勢です。

すなわち、「人と組織の成長」と考えたとき、その目的に沿った関わり方ができているかを常に問い続けることが重要だと思っています。


評価会議では何を話し合うべきか?


評価会議は、単に点数をつける場ではなく、納得感のある評価を、すべての関係者で真剣に考える場です。

目指したいのは、評価される側が「なぜこの評価なのか」を理解でき、本人にとって次につながるようなフィードバックが出来るように話し合いをすることが大切です。

そのためには、評価会議の場では何が話されるべきでしょうか?

次のポイントが大事だと考えます。

ポイント① なぜこの評価になったのかを説明できるか?

評価の理由があいまいだと、「なんとなく印象で決まった」と思われてしまいます。例えば、「仕事の進め方がスムーズになった」「顧客対応の質が向上した」など、具体的な行動や成果をもとに関係者で目線合わせをすることが重要です。

ポイント② チームや部署ごとに評価のズレがないか?

同じ会社でも、部署ごとに評価の基準がバラバラだと不公平感が生まれます。例えば、A部署では「自発的な提案」が高く評価されるのに、B部署では「指示通りに動くこと」が重視されると、社員はどちらを目指せばいいのかわからなくなります。言うは易く行うは難しですが、評価の基準をそろえることが大切です。

ポイント③ 成長につながるフィードバックになっているか?

評価を受けた人が「次に何を意識すればいいのか」を理解できるようにすることも重要です。その際、「もっと頑張ろう」ではなく、「会議での発言が増えると、リーダーシップが評価されるよ」「プレゼンの準備にもう少し時間をかけると、説得力が増すよ」といった具体的なフィードバックができるようにまとめるのも、評価会議で話すべきポイントです。

ポイント④ 報酬や昇格のルールとズレがないか?

評価が昇給や昇格にどうつながるのかを明確にすることも大切です。例えば、「S評価なら昇給の対象」と決まっていても、実際には予算の都合で昇給が見送られることがあると、不満が生まれてしまいます。評価と処遇のルールが一貫しているかを確認しましょう。

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