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皆さんの会社でも起きていない?ーー女性リーダー抜擢の裏にある真実「ガラスの崖」
「ガラスの崖」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
業績不振や不正などが起こった危機的な状況のときほど、リーダーとして女性が抜擢されやすいという現象を示す言葉です*1。
「危機を乗り越えられるのは、やはり女性リーダーだ。ジャンヌ・ダルクのように」
こんな印象を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんが、この現象はそう単純なものではありません。
なぜ、危機的な状況で、女性リーダーが選ばれるのか?
「ガラスの崖」は、2004年に英心理学者のミシェル・ライアン氏とアレックス・ハスラム氏によって提唱されました*2。
ライアン氏とハスラム氏は、83人のビジネスパーソンを被験者として実験を行いました。その結果、女性がリーダー職に就く際、その立場が男性よりもリスクを伴いやすいという傾向を見出しました。そしてそこから、次に示す構造があると示しています*1。
そもそも女性は、男性と比べてリーダーの役割を得られる機会が少ないとされています。そのため、女性は機会が少ないからこそ、難しい状況でも辞退しにくいと感じ、挑戦してしまうーーこれが危機的な状況で、女性リーダーが選ばれやすい理由のひとつです。
上司もまた、「女性に対してチャレンジの機会を提供した」と信じています。しかし、その裏には、女性にリーダーを任せた結果、失敗したとしても、「不安定な時期だったから仕方がない」として、その判断自体が批判を受けにくいと考えるのではないか、とされています*1。
結果、生まれるのが、女性リーダーが失敗した場合、「だから女性はリーダーに向いていない」という偏見です。そもそも困難な状況であったにも関わらず、こうした一部の場面だけが切り出されて、女性に対する先入観が強化されてしまうのです。
もしあなたが「ガラスの崖」に立たされたら・・・?
「ガラスの崖」現象には仮説も含まれているため、その真偽については議論の余地があります。
しかし、「危機的状況の中で女性の方がリーダーに選ばれやすい」という傾向が見られるのも事実です。したがって、その立場に立たされた時、女性はどう向き合えば良いのかを理解しておく必要があります。
指針として参考になるのは、ビジネスメディア「PRESIDENT WOMAN」の記事です。そこでは次の3つの心得を示しています*3。
1.社内外問わず、メンターを持とう
自分だけの判断では不安なとき、ネガティブになったときに、相談できる複数の先輩がいると、さまざまな視点からアドバイスをもらえます。
2.プレッシャーは無視してOK
仕事に関係のない余計なプレッシャーや期待は、無視してOK。「女性だから」「若いから」などではなく、「自分なりにできること」を心がけて。
3.やりたいことを貫こう!
つまらない昭和の男性のしきたりに合わせる必要はありません。リスクを負ってチャレンジするからには、本当にやりたいことを貫く覚悟で臨みましょう。
この指針は女性リーダーに限らず、性別問わず全てのリーダーに役立つ指針と考えられます。
こう書いてしまうとありふれた表現になりますが、チャレンジを乗り切るためには、自分の状況を正確に把握し、サポートを得ながら、独自の目標に向かって果敢に挑戦することが重要でしょう。
(参考情報)
*1 JOC「ガラスの崖」https://www.joc.or.jp/about/women-leader/words/02.html(2024年5月20日アクセス)
*2 日本の人事部「ガラスの崖」https://jinjibu.jp/keyword/detl/635/(2024年5月20日アクセス)
*3 PRESIDENT WOMAN「女性昇進の落とし穴「ガラスの崖」現象」https://president.jp/articles/-/22201(2024年5月20日アクセス)
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— 太田昂志|ゆめみCHRO (@oh1ta) June 1, 2024
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