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御社の昇格ルールは、入学要件?卒業要件?
「うちの会社って、どんな基準で昇格できるんだっけ?」
このような疑問が現場で出ることは少なくありません。
等級制度を運用するうえで大事なポイントは、昇格を 「入学要件型」 で捉えるのか、それとも 「卒業要件型」 で捉えるのか、という視点です。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
昇格基準は「入学要件型」と「卒業要件型」、どちらがいい?
昇格のルールを考えるとき、大きく 「入学要件型」 と 「卒業要件型」 という2つの考え方があります。
どちらの基準を採用するかで、昇格のハードルや、昇格後の適応のしやすさが変わってきます。
・入学要件型
次の等級で「求められる役割をすでに果たしている人」を昇格させる
・卒業要件型
現在の等級で「求められる成果を十分に出した人」を昇格させる
たとえば、マネージャーへの昇格を考える場合;
「入学要件型」だと、すでにマネージャーとしての役割を担い、リーダーシップを発揮している人を昇格させます。
一方で、「卒業要件型」では、今の役割で成果を上げ、一定の実績を残した人を昇格させます。
どちらが正解というわけではありませんが、自社の文化や人材育成の方針に合った基準を考えることが大切だと考えます。
いくつかポイントを見てみましょう。
ポイント① リーダー未満は「卒業要件」、リーダー以上は「入学要件」
昇格の考え方として、「リーダー未満は卒業要件、リーダー以上は入学要件」という考え方があります。具体的に見てみましょう。
まず、メンバーからリーダーへの昇格は、一定の成果を出せば次のステップへ進める「卒業要件型」で運用します。
これはスポーツで言えば、成績を上げれば上のリーグに昇格するのと同じで、昇格基準が明確になるので、特に成長意欲のある若手にとってはモチベーションを刺激しやすい点がメリットです。
一方で、課長や部長といった管理職以上の昇格は、「入学要件型」が望ましいと考えます。
これは、すでにその役割を担い、リーダーシップを発揮している人を昇格させるため、昇格後のギャップが少なく、スムーズに適応しやすくなります。
私自身、マネージャーになったばかりの頃、「何をすればいいのかわからない」と悩んだ経験がありますが、すでにマネジメントの一部を担っていた人であれば、その戸惑いは少なくなるでしょう。
この方式には、昇格後に迷わない、適性を見極めやすい、組織の安定感が増すといったメリットがありますが、次の役割を経験しないと昇格できないため、社員の成長が停滞し、伸び悩んだとき、挑戦の機会をどう作るかが課題になります。
ポイント② 入学要件と卒業要件、それぞれどんな職種や業界に適しているか?
「入学要件」と「卒業要件」は、それぞれ異なる職種や業界に適しています。特徴を見ていきましょう。
まず、入学要件型は、リーダーシップや高い専門性が求められる職種に適しています。例えば、マネージャーやリーダー職、技術職などです。
これらの職種では、昇格後すぐにその役割を果たせる能力が求められるため、昇格前にその責任を担っていることを確認することが重要です。
実際に、昇格前に十分な責任を果たしていることを証明できる人が、よりスムーズに新しい役職に適応し、組織に与えるリスクを減らせます。
急成長しているテクノロジー企業やグローバル展開している企業では、スピーディーに新しいリーダーや専門職を育てる必要があり、入学要件型が適していると考えられます。
一方、卒業要件型は、成果が重視される業界や職種に適しています。例えば、営業職はその最たるものでしょう。
これらの職種では、昇格基準として業績や成果が明確に定義されており、実績を上げることで昇格が決まります。
業界としては、成果主義が強い金融業界など、目標達成が重要な職種においては、卒業要件型が適しています。
まとめると、入学要件型は即戦力が求められる職種や、急成長企業に、卒業要件型は業績が重視される職種や、成果主義の強い業界に適していると考えます。