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人材マネジメントポリシー、評価制度にどう組み込む?

皆さんの会社では、人材マネジメントポリシーをうまく活用できていますか?

「時間をかけて作ったものの、どう運用すればいいのか分からない…」こう悩んでいる企業も多いかもしれません。

さらには「え、そんなポリシーがあったんですね!?」「評価制度と何が繋がっているんですか?」といった声が聞こえてくることも。

私も日々悩みながら現場に向き合っている一人ですが、今回はよくある事例をもとに、改めて人材マネジメントポリシーの活用について考えてみたいと思います。


よくある事例① ポリシーは掲げたものの、そもそも評価制度に反映されていない


最もよく見受けられるパターンの一つは、ポリシーが掲げられているにも関わらず、それが評価制度に十分に反映されていないケースです。

例えば、「社員の成長を最優先にする」といったポリシーを掲げながら、実際の評価基準が短期的な成果や数字に偏っていると、社員は「成長よりも成果」が重視されていると感じ、ポリシーとのギャップに戸惑います。

また、「フラットな組織を実現する」を掲げている組織でも、実際には役職や年次に依存した評価が行われると、結局「上下関係」が強化されてしまいます。

このように、ポリシーが言葉だけで終わり、実際の制度やプロセスに反映されないという失敗は、少なくないのではないでしょうか。

それでも、こうなってしまう事情は理解できます。評価制度は一度に変えるのが非常に難しく、簡単に変更できるものではありません。社員の行動に直接影響を与えるため、慎重になったり、過去の方針を変える勇気が持てなかったりします。

ですが、だからこそ、この問題から逃げてはいけないのです。ポリシーが掲げられたなら、その意図を実現するために、評価制度や人事プロセスを整備し、実際に運用に反映させることが大切です。ポリシーが「空気のような存在」に終わらないよう、制度との一貫性を持たせることが、企業文化を築くための最も基本的なステップだと考えます。


よくある事例② 評価制度にどう組み込むかがわからない


次に多く見られるのが、このパターンではないでしょうか。

ポリシーを実際の評価制度にどう落とし込むか、イメージが湧かないという問題です。

この場合、しばしば見落とされがちなのは、以下の点です:

人材マネジメントポリシーを体現する人物像はどのようであるべきか?
その人物にはどんな行動を取ってもらうべきか?
実は、この部分をしっかりと定義するかどうかが、制度設計の肝となります。

例えば、「多様性を尊重し、活躍機会を提供する」というポリシーがあったとしましょう。

皆さんはこのポリシーを体現している人物像として、どんな人を思い浮かべますか?

例えば、「異なるバックグラウンドを持つ人々と協力して仕事を進められる人」や、「多様な意見を尊重し、チームで最良の結果を追求できる人」などが考えられます。

これが明確になれば、次に考えるべきは、その人物像が取るべき具体的な行動です。

例えば、「異なる意見を尊重し、議論を積極的に進める」「多様な視点を取り入れた決定を行う」などが挙げられるでしょう。

このように行動が明確になれば、「共同作業の姿勢」「異なる視点の尊重」「積極的な意見交換」などが評価項目に組み込まれることになります。

さらに、評価項目をどう測るかという基準設定も重要です。

例えば、「チームでの協力を重視する」というポリシーがある場合、どの程度の協力があったかの評価基準を設定します。

仮に5段階評価で評価するなら、
・プロジェクトの進行を円滑に進めるために、異なる意見を調整した場合は『5』
・意見交換はしたが、調整に時間がかかった場合は『3』
といった具合に、基準を設けることが大事です。

ここに数値目標(売上、KPI達成度など)なども組み込みながら、定性・定量の両面から評価できるようにすることが重要だと考えます。

このように、ポリシーを単なる言葉で終わらせず、具体的な人物像や行動を明確にし、それに基づいた評価項目を設定することが重要です。そうすることで、ポリシーが日々の行動に落とし込まれ、評価制度に一貫性が生まれ、組織文化として定着しやすくなると考えます。

よくある事例③ ポリシーを組み込んだは良いが、矛盾が生じてしまっている


最後にしばしば見かけるのが、ポリシーを評価制度に反映させたものの、ところどころで矛盾点が生じてしまうケースです。

例えば、「チャレンジ精神を重視する」と掲げ、その評価項目も「新しい挑戦に取り組む姿勢」などと設定したものの、評価の採点基準が減点方式になっていると、微妙なズレが生じてしまいます。評価が減点方式だと、失敗を避ける行動が強化されてしまう恐れがあります。

「え、こんなことが起こるの?」と思うかもしれません。ただ、実際にはこうした矛盾は、評価制度設計段階では気づかないことが多く、実際に運用してみて初めて見えてくることがあるのです。

では、こうした事態に陥らないためにも、何をどう工夫すると良いのでしょうか?

例えばリリース前に全社展開する前に、ひとつの部門でテスト運用を行い、問題点を見つけて修正するなどは、ひとつの手としては良いと思っています。

評価制度のすべての問題を設計段階で予測することはほぼ不可能であるので、まずは試してみて、現場からの反応を確認することは、問題を最小化することができます。

このように、ポリシーと評価基準が矛盾しないよう、まずは小さく始めてみて展開し、さらにリリース後も常に制度を見直し、柔軟に改善を加えていくことが重要です。

この繰り返しことが、やがて組織文化を形成し、実際の行動に落とし込まれると思っています。


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