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共働きの方が実は幸せ?ーー「ポジティブ・スピルオーバー」とは
働きながら家事や育児を両立させることは、多くの家庭にとって悩ましい問題です。
「できれば夫婦のどちらかは家庭に集中して欲しい…」こう願う家庭もいらっしゃるでしょう。
ただ近年、共働きにも金銭面以外での効用があるという研究が出てきているのです。
今や「家庭」と「仕事」は、時間の奪い合いではなく、相互補完関係にある
「ポジティブ・スピルオーバー」とは、複数の役割を持つことで互いに良い影響を及ぼす現象のことを指します*1。具体的には、仕事で培ったスキルが家庭に活きたり、その逆も起こるということです。
ところで、この領域に改めて焦点が当てられたのでしょうか?
その背景には、日本だけでなく先進国全般での核家族化やケア労働に従事する従業員の増加があります。国内でも1990年代半ばに共働き世帯が専業主婦世帯を上回り、現在では専業主婦世帯の方が珍しくなりつつあるように、今、仕事と家庭の両立はどの家庭においても重要な課題となっていることが挙げられます。
しかし、核家族化などによって、親世代に子育てを任せられない状況の中で、これまで仕事と家庭の両立はネガティブな文脈で語られることが多くありました。これを読む方の中にも、両立ができずに苦しむ方もいらっしゃるでしょう。
しかし、こうした見方に対して、家庭と仕事は時間の奪い合いではなく、補完関係にあるという見方を示す研究が現れ、「ポジティブ・スピルオーバー」という概念が登場しました。
ポジティブ・スピルオーバーを誰でも起こせる!促進する職務要因、個人要因、職場要因を押さえよう
家庭と仕事の両立は、ネガティブな影響だけでなく、ポジティブな影響も与えます。つまり、一方の役割で得た経験が別の役割に流れ込み、能力や収入の向上などが期待できるのです。
例えば、仕事で身に付けたオペレーション能力を家庭運営に応用すれば、効率よく家事をこなすことができるでしょう。また、その考え方をパートナーと共有することで、さらに効率的かつマルチタスクで家事を進められるかもしれません。
家庭での子どもへの接し方も、仕事上のリーダーシップに活かせる場面があります。言うことを聞かない子どもをうまく動かす経験は、職場での部下の指導にも役立つかもしれません。
では、どうすればこうした影響をもたらすことができるのでしょうか?
ポジティブ・スピルオーバーを起こすためには、その先行要因と結果要因が明らかになっています。
リクルート・マネジメント・ソリューションズさんの記事が参考になりますが、ポジティブ・スピルオーバーを促進する職務要因、個人要因、職場要因の3つが整理されています*2。
詳細は記事の中に譲るとして、これを実践する上で押さえておきたいのは、その要因を正しく理解することです。
要因の中にはコントロールしにくいものもありますが、「自分にはできそうにない…」と諦めるのではなく、そこは周囲の力を借りながら、進めていくことが大切だと考えます。
仕事と家庭の両立は決して簡単ではありません。ただ、その中で得られる経験は、両者にポジティブな影響を与えるだけでなく、お互いの成長と幸せにつながる貴重な財産となるでしょう。
(参考情報)
*1 日本の人事部「ポジティブ・スピルオーバー」https://jinjibu.jp/keyword/detl/1703/(2024年8月1日)
*2 リクルート・マネジメント・ソリューションズ「ワーク・ライフのポジティブな関係性」https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/0000000700/(2024年8月1日)
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— 太田昂志|ゆめみCHRO (@oh1ta) August 1, 2024
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