「非管理職で居続けるメリットは?」ーー罰ゲーム化する管理職問題
日本の管理職の異常な仕事量は「罰ゲーム」とも言われ、社会問題化しつつあります。
あえて非管理職で居続ける方も増えてきていますが、取り上げられるのはデメリットばかり。
では、非管理職で居続けるメリットとは何でしょうか?
なぜ、非管理職のままで居続けられないのか?
「非管理職」と言っても様々な形態がありますが、ここでは管理責任を負わない「一般社員」(Individual Contributor)として働くケースを想定して話を進めます。この役割は、組織の指揮を取らない代わりに、自身の専門性に基づいて成果を出すことが求められます*1。
さて、一般的に指摘される非管理職のデメリットは様々挙げられます。例えば、業務上の意思決定権限が少ないこと、年齢を重ねると年下上司のもとで働くことになること、などです*2。
その中でもしばしば取り沙汰されるのが、「年収の伸び悩み」です。一定の職位まで昇進した後、管理職に就かない限り年収が頭打ちになることが多く、これが非管理職を選ぶ人にとっては大きな障害となりえます。
「年収はほどほどで大丈夫」
こんな方を除いて、一定以上の報酬を得たい方にとって、この"年収の壁"問題で管理職に転身すべきか悩むタイミングがきます。
非管理職で居続けるメリットは、「ワークライフバランス」、「専門性の深化」、「キャリア柔軟性」
従来はこうした「年収の壁」問題によって管理職に嫌々転身する方が多かったのですが、近年、こうした状況に変化が出始めています。
特に変化が出てきたのは、金融業界やデジタル業界など、専門性が高く求められる業界です。こうした業界では、非管理職でも管理職と同等、あるいはそれ以上の報酬を得るケースが増えてきました。むしろ、管理職の重責や過重労働を考えると、非管理職として専門性を追求する道を選ぶ人も出始めています。
その他、非管理職で居続けるメリットにはどういうものがあるのでしょうか。
ひとつは、ワークライフバランスでしょう。管理職になると、際限なき仕事を抱え込み、過大な業務責任を負い、細かな社内の調整ごとに悩まされます。その結果、仕事中心の生活になりがちです。しかし、非管理職であれば、こうしたストレスや複雑な人間関係に悩むことが少なく、個人の時間やプライベートを重視する働き方が可能です。
また、自身の専門性を深めたいという理由から、非管理職で居続ける方もいます。管理職は主に調整役としての業務が多く、個々の専門スキルを磨く時間が限られますが、非管理職であれば特定分野に集中し、スキルを高める余裕が生まれます。
さらに、キャリアの柔軟性も見逃せない点です。転職市場では、管理職経験者は優位とされていますが、未経験の業界に転職する際には不利になるケースもあります。それは管理職経験がマイナスに働くという意味ではなく、管理職経験者が異業界に移る場合、給与や待遇が下がるリスクがあるため、必ずしもキャリアの選択肢が広がるとは限らないということなのです。
これらを踏まえると、自分が専門職としての道を選びたい、またはワークライフバランスを重視したいと考える人にとって、非管理職でいることは以前よりも有意義な選択肢になっているかもしれません。管理職に必ずならなければならないという時代は終わりを告げ、非管理職として働き続ける選択肢もひとつの選択肢として支持され始めているものと感じます。
(参考情報)
*1 Indeed「一般社員(IC)の役割と必要なスキルとは?」https://jp.indeed.com/career-advice/finding-a-job/what-is-an-individual-contributor(2024年10月1日アクセス)
*2 識学総研「【管理職になりたくない】3分で分かる管理職のメリットとデメリットを徹底解説!」https://souken.shikigaku.jp/2209/(2024年10月1日アクセス)
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